再生可能エネルギーの普及・広がりは私たちも日々実感するところですが、それが日本の電源構成を変えていくだけではなく、企業の役割も変えていくことになるとしたら?
それに早く気づいて動く企業とそうではない企業には大きな差が出てくることでしょう。
「世界自然エネルギー未来白書 2013」の主筆兼研究ディレクターを務められたエリック・マーティノーさん(環境エネルギー政策研究所)への取材でお聞きした、「!」という見立てのいくつかご紹介しましょう。
「さまざまな企業の役割が変化する可能性がありますね。まず、電力会社の役割が変化します。
電力供給だけでなく、多くの供給源、配電、区分、さまざまな形態の消費者や、分刻みで制御可能な異なる種類の需要、電気自動車の充電も含む電力システムの管理者になるということです」
「石油会社にも変化が起こります。多くの風力タービンが沖合に建ちますが、沖合風力発電で費用がかかるのはタービンではなく、長期にわたる運転とメンテナンスのコストです。石油会社は沖合での石油掘削・輸送をしていますから、得意分野のはずです」
「再生可能エネルギーの未来において、IT企業の果たす役割は驚くほど大きくなります。ソフトバンクの孫氏はご存知だったのでしょうね。
しかも、スマートグリッドやスマートメーターなどだけではありません。
風力発電会社のCEOと話したとき、世界最大のスーパーコンピューターユーザーは風力発電業界だと聞きました。
風力発電所では、風速を計り、出力が均一になるように、多数のタービンの設置場所を厳密に決めます。そのためには、洗練された計算とモデリング、コンピュータが必要です。
また、数百あるデータ地点からの情報を解析して、異常を検知して故障する前に修理することで、メンテナンスコストを削減しています。風力業界ではIT分野から多くの人材を雇用しています」
お話を聞きながら、2002年に東京ガスの社内報にエッセイを寄稿したことを思い出しました。
題は『東京ガスは、何屋さんになるの?』
「東京ガスは、何屋さんになるのかなぁ?
シェルは「石油屋さん」をやめて、「エネルギー屋さん」になると宣言し、着々とビジネスを変えている。フォードはそのうち「自動車屋さん」をやめて、「モビリティ屋さん」になる、といっている。東京ガスは、何屋さんになるのかなぁ?(後略)」
政権に関わらず、原発比率に関わらず、再生可能エネルギーを最低でも20~30%の割合まで増やそうという方向性はかわらないはず。日本の現状から見れば、それでも"激変"となるでしょう。
社会や時代が大きく変わるとき、これまでになかった要請が生じ、いちはやくそれを理解し、すばやく体制を整えて動ける企業は生き残り、次の時代の勝者になります。
さて、何があればこの時代の激変をチャンスにすることができますか?