エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2013年12月13日

「緑の贈与」を進めよう!(2013年11月25日掲載)

 

太陽光パネルを載せたおうちが増えてきていますね。量産効果でパネルの価格が下がってきていること、固定価格買取制度で着実に投資が回収できる状況になったためでしょうね。

それでも「屋根の向きもいいし、入れたいんだけど、入れられない!」という方も多い。2つのグループがあります。

1つは、若い世帯です。まだお給料も多くないし、子どもの教育費もかかるので、「投資回収ができることはわかっていても、初期費用が出せない」。

もう1つは高齢者です。「初期費用は問題ないが、10年、15年で元が取れると言われても、この年ではねぇ」。

この2つの「気持ちはあるけど、それぞれのハードルがある方々」をつなぐことで、両方の問題を解決し、再生可能エネルギー導入をどんどん進めちゃえるスゴイ仕組みが「緑の贈与」です。

たとえば、ある祖父母が孫の誕生を機に、息子の家族にまとまった額をプレゼントしたいと思ったとき、直接現金を譲るのではなく、息子家族の家の屋根に太陽光パネルを設置してあげるのです。

その日から、日本の再生可能エネルギーは少し増えます。そして、息子家族は、約10数万円の売電収入を得ることができます。

屋根の上の太陽光パネルはずっと発電を続けてくれます。「おじいちゃんたちのおかげ」が毎日発電パネルをのぞくたび、売電実績を見るたびに感じられます。

子供の家にパネルがつけられない場合は、譲ろうと思ったお金を再生エネルギー発電事業に出資するのはどうでしょう? 受け取る収入を息子夫婦か孫の口座に振り込むようにするのです。

再生可能エネルギー普及に貢献できるのと同時に、収入が毎年約十数万円ずつ10年以上にわたって振り込まれるため、孫が成人する頃には、資産が引き継がれるという仕組みです。

このように「同じお金を贈与するなら、再生可能エネルギーを促進するやり方で!」という「緑の贈与」は地球環境戦略研究機関(IGES)主任研究員の松尾雄介さんが考案されたもので、その効果も試算されています。

現在日本の贈与は年間約4兆円規模。その一部でも、再生可能エネルギーの推進につながる形でできるようになったら、とても大きな原動力となりますね!

たとえば、約2000万世帯の高齢者世帯の2割が400万円ずつ緑の贈与をしたら、総投資額は約16兆円。

この投資によって中期的には4000~5000万Kwの再生可能エネルギーを作り出すことができ、約7.8兆円の化石燃料輸入代金と約5億トンのCO2を削減し、100万人規模の雇用が創出されるとのこと。

世代を超えてニーズをマッチし、大きな変化を生みだせる「緑の贈与」の実現に向けて、環境省からの税制改正要望として、「緑の贈与の非課税措置」が提案されています。ぜひとも実現してほしい!と強く願っています。

 

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