エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2015年02月02日

『世界はシステムで動く』(2015年2月2日掲載)

 

 1月24日に本を出版しました。初版5000部のところ、予約注文や先行販売が相次いで刊行前にほぼ売り切れとなり、本が書店に並ぶ前に重版3000部の印刷を開始、紀伊國屋書店などではビジネス書部門でランキング入りしています。

 この本は、『世界はシステムで動く ―いま起きていることの本質をつかむ考え方』。「世界がもし100人の村だったら」という、日本でも大いに読まれたエッセイを書いたドネラ・メドウズさんによるシステム思考の入門書を翻訳したものです。

 組織や社会などのシステムはすべて、さまざまなものが複雑につながり合っているのに、私たちはつい、その一部だけを取り出して考えがちです。「これが問題だから、こうすればよい」というように......。

 しかし、こうした結果、目当ての問題だけではなく、思わぬところへも思わぬ影響が及び、期待した効果が生まれないばかりか、新たな問題を生み出すこともよくあります。

「想定外」と言うのは、システムを狭く限定して考えていたか、重要なつながりを見逃していたことを告白する以外の何物でもない、とシステム思考では考えます。

 そのような事態にならないよう、また本当に効果的な介入策を考えるために、あらゆるものをさまざまな要素が複雑につながった「システム」として考え、分析するのがシステム思考です。

 さらに、さまざまなシステムを分析することで、システム独自の特徴や性格、注意すべき点などを理解し、氷山の一角でしかない「出来事」レベルではなく、システムの「構造」やその奥底にある「メンタル・モデル」(意識・無意識の前提、思い込み)に働きかけることで、必要な変化をより効果的に作りだしていけるようになります。

 今日も明日もこれからもずっと、新聞やテレビのニュースはさまざまな事件や出来事を報道するでしょう。組織や地域でも、毎日さまざまな出来事が起こることでしょう。

 そういった「出来事」に右往左往し、後手に回って対応するのではなく、目の前の出来事がどのような大きな趨勢の"一角"なのか、その趨勢を作りだしているのはどのような構造なのかを考え、見抜くことができるとしたら、毎日がどれほどラクになることでしょう!

 不確実で不安定な時代になればなるほど、「システム的」な考え方やものの見方、変化の創り方が必要になります。システム的な物の見方を身につけるだけでも、日々の暮らしや組織運営、社会変革などに大変役立ちます。

 この本がこれほど多くの読者に迎えてもらえるとは思っていなかったのでびっくりしましたが、やはり不確実で不安定な時代であることを感じている人がそれだけ多いのだろうと思いました。

 だれもが知っておくべき本質的で重要なことを本当にわかりやすく教えてくれるこの本が、多くの人や組織、地域や社会のお役に立つことを願っています。

 

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