政府は先日、2030年度の温室効果ガス排出量を「13年度比26%減(05年度比25・4%減)」とする削減目標を正式に決めました。
他国と比べても、温暖化の進行をくい止めるためにも、十分ではない目標案に、「低すぎる!」という批判の声が上がっています。
環境NGOだけでなく、企業の中にも「もっと積極的に行動すべきだ」という意見を公表しているところがあることをご存じですか?
アスクル、イオン、オリックス、キッコーマン、佐川急便、富士通、LIXIL、リコーなどが参加している「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(Japan-CLP)という企業のグループがあります。
持続可能な低炭素社会への移行に先陣を切ることは、自社にとってのビジネスチャンス・次なる発展の機会と捉えている企業ネットワークです。
2009年7月に設立されたこの企業グループは、「持続可能な低炭素社会の実現には「産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきである」として、次の7つを推進しています。
1.低炭素化を重要な経営課題として位置づける
2.気候変動対策を戦略的に推進する
3.企業活動全般の積極的な情報開示を行なう
4.社員参加により展開する具体策を講じる
5.魅力的な商品・サービスにより、お客さまに働き掛ける
6.連携によってバリューチェーン全体の低炭素化を図る
7.アジアをはじめとした国際的な議論に参加する
Japan-CLPが5月末に発表した「日本の温室効果ガス削減目標に対する意見書」には次のように書かれています。
「Japan-CLPは、気候変動問題に取り組むには、30年に少なくとも90年比30%(05年比約36%)以上の目標が望ましく、意欲的な目標にチャレンジすることは、日本の課題解決にも繋がると考えます」。
「将来世代に過大な負担を強いることを避けつつ、深刻な被害を回避するために最低限必要とされ、既に閣議決定されている長期目標『50 年に 80%削減』に整合させる必要がある」として、政府の「05年比 25.4%削減」に対して、「少なくとも約36%削減」を求めるJapan-CLPの主張はとても心強い動きです。
「一部には実現可能性や投資回収の不確実性などにより、意欲的な中期目標を避ける議論もある。しかし、化石資源に依存した経済成長から脱皮し、気候変動問題を解決することは、国際社会に課せられた大命題である。それは、『できることを積み上げる』というものではなく、深刻な被害を避けるために『今、何をすべきか』という、現世代が将来世代に先送りが出来ない課題である」(意見書より)。
「現世代が将来世代に先送りが出来ない課題」に真正面から取り組む企業が増えること心からを願っています。