エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2015年11月05日

地域に「ハッピーソーラー」(2015年11月2日掲載)

 

 徳島県に、「自分たちのエネルギーを地域で開発し、地域の人が利益を享受できるようコーディネートする」事業を展開している一般社団法人があります。徳島地域エネルギーです。理事の豊岡和美さんから教えていただいた、「コミュニティ・ハッピーソーラー」という、地域が幸せになるソーラー発電の仕組みがとても素敵だったのでお伝えします。

 その仕組みは、「建設費の一部として寄付金を募り、お礼に地元の特産品を送る」というもので、太陽光発電事業にたくさんの人が関わることができ、地域にも受け入れやすいものにする取り組みです。
 農山漁村の支援に理解のある人から1口1万円の寄付を募り、ソーラー発電所の運営資金に充て、感謝の意味を込めて寄付者の名前を発電所に掲示します。発電量・売電益を公開し、発電による利益から、地域の農林水産業へ支援します。支援方法は、地域の公共団体や農業団体も参加する運営協議会の意見を聞いて決定するそうです。
 順調に発電が始まったら、寄付者に地域の安全安心な特産物(農産物や水産物等)を送ります。送る品物を地域から購入することで、さらに地域の産業を応援することができます。

 最初にこのしくみで寄付者を募集したのは、佐那河内みつばちソーラー(100kW)。佐那河内村は、徳島駅から車で1時間ほどの人口約2600人の村です。自然に恵まれ、フルーツやしいたけ、ネギなど農業の盛んなところで、今日までどことも合併していない、徳島県に残された唯一の村です。
 322口募集したところ、すぐに満額集まり、2014年3月に発電を開始しています。322口の寄付者は、村内7人、県内254人、県外61人だったとのこと。村の外の人々がたくさん応援してくれているのですね!

 コミュニティ・ハッピーソーラーは、県内5カ所で実施予定で、うち2カ所で建設が進んでいるそうです。
 その1つ、人口4500人強の牟岐町は、徳島駅からJRで1時間半ほどの海辺の町で、産業は主に漁業に頼っています。「他の過疎地同様、高度経済成長期以降、多くの若者が町を離れ、現在では、人口は往時の半分以下となり、少子高齢化も進行し、過疎のスパイラルから抜け出せない状況が続いています」と町のホームページで町長が述べているように、厳しい状況にある町です。
 豊岡さんによると、町長さんから相談を受けて、廃校になった小学校の屋上と町所有の空き地で太陽光発電をしようと、寄付を集めているとのこと。

 売電収益が地域に還元されるだけでなく、寄付者へのお礼も地場産業を支援するしくみになっていること、とても素敵ですね! 単なるエネルギーを生産するだけでなく、地域の幸せも作り出す仕組みが広がっていけば、と願っています。

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ