エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2015年12月02日

就活生の求める企業情報(2015年11月30日掲載)

 

 就活の開始時期についてのニュース、私も東京都市大学の枝廣研究室に18人の3年生がいるので、注視しています。

 いうまでもなく、就職は学生・若者にとっての「人生の一大事」。どのような企業に就職し、どのような仕事に就くかは、自分の暮らしの質や人生そのものにも大きな影響を与えるからです。
 仕事は、生活の糧を稼ぐ手段でもありますが、それだけではありません。私たち一人一人にとって、自己成長や自己実現の場でもあり、社会や未来をより良いものにするために、自らの持てる力を発揮して貢献できる場でもあります。

「一大事」である就職のために、就活生は多くの時間を費やして、企業研究をします。
 ゼミ生たちを見ていて、自分が「働きたい」と思う企業についてより詳しく知りたいと情報を探す以前に、まずは自分が「働きたい」と思う企業を探すステップが重要であることが分かりました。

 そこで、「自分が働きたい企業はどういう特徴を持っていてほしいか」を出し合ってみました。手分けして他の学生からヒヤリングし、授業でアンケート調査も行いました。
 こうして、200人を超える学生から集めた「就職に当たって企業について知りたいと思っている情報」の種類は、大きく2つに分けられます。

 ひとつは「企業軸」、つまり「その企業そのものについての情報」です。
「地域住民から信頼されているか」「社外とのコミュニケーションがあるか」「環境問題・社会問題に対して、しっかり行動しているか」などが挙げられました。

 もう1つは、「自分軸」。就職した自分、つまり「従業員にとってどのような場であるかについての情報」です。
 例えば、「自分のやりたいことができるか」「社員の意見を聞いてくれるか」「安心して働けるか」「女性にとっても働きやすい場か」「ボランティア活動を続けることができるか」などです。

 確かにお給料などの情報も大事ですが、「それだけではない」と多くの学生が口をそろえます。学生たちも企業のESG情報(環境・社会・ガバナンス)を求めているのです。

 絞り込んだ候補企業の詳細を調べる前に、就活生としては、多くの企業の情報を集め、自分なりの視点で比べたいと考えます。学生の求めるESG情報があるとしたら、その多くはCSR・サステナビリティ報告書に掲載されているでしょう。
 統合報告書に向かう動きの中、投資家・株主ではない、学生・就活生にとって必要な情報を、企業はどの程度出してくれているのでしょうか?

 現在枝廣ゼミでは、就職ランキングの常連企業約50社を対象に、「就活生が求める情報の開示度」を調査するプロジェクトを進めています。12月のエコプロダクツ展でランキングなどの結果を発表する予定です。

 このプロジェクトを通じて、企業に「就職に当たって就活生の求める情報」を伝えるとともに、そういった情報の多くが掲載されているCSR報告書などの存在を多くの就活生・学生に広く伝えたいと願っています。

 

このページの先頭へ

このページの先頭へ