今回の内閣改造の目玉ポストは「働き方改革」特命担当相とのこと。
財務省と厚生労働省が進めている働き方改革案では、「残業時間に上限を設けるなどして長時間勤務を抑制。最低賃金の引き上げや雇用保険料の大幅な引き下げで働き手の所得を増やす。女性や高齢者など働く人の裾野を広げつつ、働き方改革に取り組む企業も支援し、経済成長を底上げする」とのこと。「年収130万円の壁」を超えられるよう、企業への助成金の増額などもあります。
「同一労働同一賃金」の指針を年内に策定するなど、格差是正につながりそうなものもありますが、この働き方改革自体が「経済対策の目玉」として位置づけられていることに違和感を覚えるのは私だけでしょうか?
働き方改革とは、経済成長のためなのでしょうか? 本来、人として幸せな人生を生きていくために、安心できる安定した地域や社会づくりのために、(今はそうなっていない)働き方を変えていくものではないでしょうか?
優れた教育などで近年注目を集めているオランダでは、ワークシェアリングが浸透しているため、多くの人が週休3日制で、夕方に仕事が終わり、家族みんなでゆったりと時間を過ごしたり、地域のボランティア活動に携わったりしているそうです。それでいて、経済が低調なわけではありません。
家族がいつも一緒にいられる環境になったため、保育園に行く子どもは2割と聞いて、日本との差を痛感しました。
本人の幸せのためではなく、「経済成長のためには労働者が必要だ。労働人口が減っていく日本では、女性や高齢者を活用しなくてはやっていけない!」と、女性の活躍推進や高齢者の退職年齢の引き上げを進め、「そのためには待機児童をゼロにしなくては」と、保育園の拡充に走り回る日本は、オランダとは真逆の方向に突っ走ろうとしているように思われます。
「働きたいのに保育園が足りない」という人がたくさんいる現状は変えていかなくてはなりません。しかし、国が「国民や社会の幸せのため」ではなく、「国の経済成長のため」に、働き方改革を進めようとしている日本の現状と構造も変えていかなくてはなりません。
「働き方を変える」→「経済成長」→「人や地域の安定や幸せ」につながるだろう、ではなく、「働き方を変える」→「人や地域の安定、幸せ」→その結果としての「経済成長」であってほしい、と思うのです。