エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2018年12月18日

海洋プラスチック汚染(2018年12月17日掲載)

 

海洋プラスチック汚染が世界で大きな問題となっています。日本は、6月の先進国7カ国(G7)首脳会議で採択された「2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにする」という「海洋プラスチック憲章」に、米国と共に署名しなかったため、内外から大きな批判を浴びました。

来年開催される20カ国・地域(G20)首脳会合で議長国を務める日本は、海洋プラスチック汚染の議論をリードするためにも、独自の考え方を示し、野心的なビジョンを策定する必要があります。こうした問題意識から、私も委員を務めている環境省のプラスチック資源循環戦略小委員会では「プラスチック資源循環戦略」案を議論し、現在パブリックコメントを募集しています。

この戦略案では、従来型の「できることの積み上げ目標」ではなく「あるべき姿」として野心的なビジョンが提示されており、私も高く評価しています。具体的に見ると海洋プラスチック憲章を超える目標が打ち出されていることがわかります。

①30年までにワンウェイのプラスチック(容器包装等)を累積で25%排出抑制する。

②25年までに、プラスチック製容器包装・製品のデザインを、容器包装・製品の機能を確保することとの両立を図りつつ、技術的に分別容易かつリユース可能又はリサイクル可能なものとする(それが難しい場合にも焼却処分時の熱回収可能性を確実に担保する)。

③30年までにプラスチック製容器包装の6割をリサイクルまたはリユースし、かつ、35年までに全ての使用済みプラスチックを熱回収も含め100%有効利用する。

④30年までにプラスチックの再生利用を倍増する。

⑤30年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万t)導入する。

具体策として打ち出された「レジ袋の有料化義務化」は、マスコミにも取り上げられ、話題になっていますね。

今の時代、誰であってもどんな企業もプラスチックを使わずに過ごすことは、ほぼ不可能です。しかし、そのプラスチックが海洋汚染だけでなく、人体への影響も懸念される存在となってきました。世界各国の政府も産業界も、プラスチックを次の競争優位性の土俵と認識し、取り組みを進めています。日本の素材メーカーや容器包装・製品等のプラスチックを使用している企業も、あるべき姿を考え、取り組みを進めていく必要があります。

 

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