エダヒロ・ライブラリー執筆・連載

2019年06月28日

ガス事業の今後は?(2019年6月24日掲載)

 

私も委員を務めた「パリ協定長期成長戦略懇談会」が最終提言を安倍首相に提出し、それをもとに政府の成長戦略が策定されました。

私の主宰するイーズ未来共創フォーラムでは5月16日に、「長期戦略懇談会の提言とその意味するところ」と題して、懇談会の事務局を務めた3省の担当者をお招きして、異業種勉強会を開催しました。外務省国際協力局気候変動課長、環境省地球環境局総務課低炭素社会推進室長、経済産業省産業技術環境局環境政策課長の3名が最初から懇親会の最後まで参加して、参加者と熱心な意見交換をしてくれました。

この異業種勉強会には企業・研究機関・地方自治体など50超の団体が参加していますが、今回はガス業界から3社が参加してくれました。

「政府はガス会社の中長期的な扱いについてどう考えているのか」という質問に、経産省の飯田課長は次のように率直に答えてくれました。

「今は石炭をガスにしていこうという流れになっている。とはいえ、2050年に80%、今世紀後半の早い段階で実質ゼロにしていくことを考えると、ガスのままでよいのか、という話になる。以前国際会議で、脱石炭連合に入っている国の方が『石炭の時代は終わり、今後はガスを使っていく』と話したところ、NGOから『ガスもCO2を出す』と批判を受けていた。このように、石炭の次にはガスが標的にされる可能性もあり、脱炭素社会に向けて、ガス事業の在り方は国やガス会社の皆さんにとって重要な課題となってくる」。

多くのガス事業者の皆さんは同様の認識をされていると思いますが、温暖化の影響の顕在化とともに、500を超える自治体が「気候非常事態宣言」を出し、世界中で150万人を超える生徒・学生たちが「気候ストライキ」を繰り返すなど、世界中で政治も産業界も対応を迫られています。社会の脱炭素化は予想以上のスピードで進むと考えておいたほうがよいでしょう。

みなさんの企業は目先だけでなく、長期的な展開も見ようとしているでしょうか?

次回の異業種勉強会は、現在100社を超える企業が参加する「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」の事務局をお迎えして、日本の脱炭素化への移行をビジネスとしてどう捉え、進めていけばよいかを議論します。ガス業界にとっても直視すべき動向です。ご興味のある企業の方、メンバーまたはオブザーバーとしてご参加下さい!

 

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