盛岡市で開催された日本ガス協会主催の「地域活性化フォーラム」で、「持続可能な地域へ! 地域経済とエネルギーを考える」と題して講演しました。
ほぼ全ての地域で、地元経済からお金が流出する大きな「漏れ穴」の1つは、エネルギーです。電力でも、ガソリンでも、ガスでも、域外・国外から調達している限り、その代金は域外・国外に流出します。
地域の富を増やすカギは、「地消地産」です。もちろん"外貨"を稼ぐことも大事ですが、「地域が消費しているものを地域で生産する」ことで、漏れ穴をふさぎ、地元経済の循環を高めることができます。エネルギーの地消地産に向けて、地域のガス事業者は大事な役割を果たすことができるでしょう。
今は輸入ガスの販売がメインの事業だとしても、30年後、50年後も同じ商売だけではやっていけない時代になります。エネルギーを取り扱う事業者として、ガスだけではなく、太陽光やバイオマスなどの地域エネルギーにも視野を広げていきましょう。
太陽熱やバイオマスボイラーなど、「熱」も重要な商材です。日本が消費しているエネルギーの半分以上は熱エネルギーです。地域のインフラ事業者として、ガスから再エネ電力、再エネ熱へと事業領域を広げていき、いずれはドイツのシュタットベルケのように、交通なども含め、住民に必要なものを1つのパッケージで提供するようになっていく企業も出てくるかもしれません。
「漏れ穴をふさぐ」という観点から、まず自社の地元経済への貢献を高めることもできるでしょう。自社の調達品目をできるだけ地元から買うことです。社員食堂があるなら、食材はできるだけ地元から買うなど、地元調達率を高めることで、漏れ穴を少しでもふさぐことができます。企業や組織の「わが社の地元経済への貢献度」を見える化する手法もあります。
また、自社だけで取り組める興味深い取り組みもあります。富山県の日本海ガスは、ガスの使用量に応じて提供しているポイントを「地域内のお店でのみ使える」ようにしているそうです。そのポイント分のお金は域外には出ていきません。必ず地域の事業者にプラスをもたらし、地域の経済循環を高めることにつながります。
いろいろな工夫をしつつ、これからの時代に、ガス事業者が地域で果たすべき大事な役割を考えてみてください。