コロナ危機を「常態からの一時的なずれ」と考える人は「今の大変な状況をどうしのぐか」に注力します。「新しいあり方へのシフトの原動力」と捉えるならば、「そこから何を学び、何を変えていくか」が重要になります。コロナの状況下で、意識の高い人々はすでに「そこから学び、変えていく」ことを始めていることが、先日行った2つのアンケート調査から明らかになりました。
調査は、ほぼ同じ内容の調査を同時並行的にインターネットで行ったもので、一つは調査会社に委託した「一般の人々」の意識調査、もう一つは私の環境メールニュースなどで呼びかけた「高関心層」の意識調査です。
「食料の入手方法はコロナの状況下で変わったか」という質問に対して、「一般」では「変わった」「やや変わった」をあわせて35%が「変わった」と答えたのに対して、「高関心層」では半数が「変わった」と回答しました。
どのように変わったのか、自由回答を分析したところ、「一般」では「近所で買う」「短時間で買う」「ネットスーパー」「生協」「まとめ買い」「冷凍食品」などが出てきたのに対し、「高関心層」では「生産者応援」「コロナ支援」「産地から取り寄せ」「地元の野菜を購入」というように、「地元」「支援型」の食料入手方法への変化が出てきました。
「コロナの状況下で、新たに始めたことや以前より時間を使うようになったことはあるか」という問いに対しては、「一般」では「消毒」「手洗い」「マスク」など衛生関連がかなり出ました。他方「高関心層」では、「丁寧なコミュニケーション」「地域との対話」「ボランティアやオンラインセミナーへの参加」「将来のために時間を使っている」という結果でした。大きな違いに私自身もびっくりしました。
「コロナの状況下で、幸福度に変化があったか」に「上がった」と答えた人は「一般」では14%でしたが、「高関心層」ではなんと44%(!)と大きな差がありました。その理由として「高関心層」が挙げたのは「大切さを感じる」「当たり前に感謝する」「新しい活動を始めた」などでした。全般的に「高関心層」はコロナ渦の事象をチャンスとして前向きに捉えていることがうかがえます。
コロナの先を考えたいのだとしたら、企業は誰のどのような意識や行動を見ておく必要があるのか――考えさせられる結果ではないでしょうか。