世界気象機関(WMO)が「2023年は観測史上最も暑い年になった」と発表しました。世界の平均気温が産業革命前に比べて約1.45度高かったとのこと、パリ協定でめざしている「1.5度」に限りなく近づきつつあります。世界各地で温暖化に伴う異常気象による被害が頻発している中、一刻も早く、これから出すCO2をゼロにするだけでなく、既に大気中に出てしまったCO2を吸収・貯留していかなくてはなりません。
先月経産省で第6回「カーボンニュートラルの実現に向けたカーボン・クレジットの適切な活用のための環境整備に関する検討会」が開催されました。カーボン・クレジットとは、排出量見通しより実際の排出量が下回った場合、その差分をクレジットとして認証するものです。
クレジットには大きく2種類あります。一つは、再生可能エネルギーの導入や設備効率の改善、燃料転換、輸送効率改善などによって「そうでなければ排出していたものを回避、あるいは削減した」という「排出回避/削減」です。もう一つは、植林や森林管理、耕作地管理、沿岸域修復、草地保全などによって、「CO2を吸収、固定化した」という「固定吸収/貯留」になります。
今後は炭素除去・吸収等の取り組みによるクレジットの必要性が高まることが予想されるのですが、日本のJクレジット制度ではそのための方法論が整備されていません。そこで検討会での論点の一つが「日本は除去・吸収系クレジットにどう取り組むべきか」だったのです。
世界的には、「固定吸収/貯留」の取り組みに注目が集まっており、クレジット化の方法論の議論も進んでいます。私が熱海・未来創造部で展開している「バイオ炭」(バイオマスの炭化)は、この「固定吸収/貯留」の切り札の一つです。
Jクレジット制度では「バイオ炭の農地施用」に関する方法論はできていますが、国内ではまだ活用例は少なく、いかに広げていくかが課題です。
欧州のクレジット認証機関はバイオ炭のクレジットも続々と発行しています。米国では農地貯留を対象としたクレジット創出ビジネスを展開するスタートアップも登場しています。
「日本でも展開を加速していきたい」と炭化セミナーなども開催していますので、ご興味のある方はぜひどうぞ!