高温や渇水が頻繁に起こるようになり、国内外で穀物や野菜の生育への悪影響が増大しています。価格高騰など、生活への影響を実感している方も多いのではないでしょうか。
農業は温暖化に脆弱な「被害者」であり、さまざまな適応策がとられています。
その一方で、実は農業は温室効果ガスを排出する「加害者」でもあることはご存知でしょうか?
世界全体の温室効果ガスの約4分の1は、農業分野からの排出なのです。農業からの排出を減らしていかなくてはなりません。
そして、「農業だからできること」があります。農業は、気候変動の「救世主」にもなりうるのです!
ほとんどの産業は操業から排出されるCO2を減らすことはできても、いったん大気中に出たCO2を通常の操業で回収することはできません。
でも農業は植物を育てることで大気中のCO2を除去することができるのです。そして、回収したCO2を農地に固定化することもできるのです!
農業は食べ物を生産してくれるという、私たちの身近で、かつ、生存にとって不可欠の存在ですが、温暖化との関係性は意外に知られていません。
農業が有している温暖化対策のパワーを知ることで、みんなで農業を支え、応援していくことにつなげたいとの思いから、岩波ブックレット『農業が温暖化を解決する!─農業だからできること』を出しました。
世界では「カーボン・ファーミング」(大気中のCO2を土壌に取り込んで、農地の土壌の質を向上させるとともに温室効果ガスの排出削減を目指す農法)への関心と取り組みが広がっています。こうした「環境再生型(リジェネラティブ)農業」の取り組みも、多くの事例とともに紹介しています。
多くの農業関係者のみなさん、そして、温暖化に心を痛めているみなさんのお役に立てることを願っています。
薄いブックレットなので、さくっと読んでいただけます。
私たちに「食べ物」を提供してくれる農業は、温暖化の「原因」でもありますが、「救いの女神」でもあります。
「何を食べるか」を選ぶことで、よりよい地球を未来世代に残せるということを知っていただけたらうれしいです。