開催日 | 2014年4月21日 |
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対象 | イーズ未来共創フォーラム企業・団体パートナーさま、オブザーバーでのご参加希望のみなさま(先着10社・団体さま) |
ゲスト | 国立環境研究所 社会環境システム研究センター(環境都市システム研究室)/室長 肱岡 靖明 氏 |
ファシリテーター | 枝廣 淳子 |
参加人数 | 20社・団体27名 |
前回に続き、7年ぶりに発表されたIPCC第5次評価報告書の内容をとりあげました。
今回は、3月に横浜で開催されたIPCC第38回総会・第2作業部会の「影響・適応・脆弱性」について、日本から第2作業部会の執筆にも関わられた、国立環境研究所の肱岡靖明さまをゲストに迎え、その内容や企業にとっての意味合い、何をすべきかを考えました。
温暖化の進行を食い止めるためには、CO2削減などの「緩和策」が必須ですが、緩和策を行ったとしても、今後数十年は温暖化の影響を避けることはできません。すでに起こりつつある、または起こりうる温暖化を理解し、その影響に対して、企業はどう準備し、リスク対応していくべきか。肱岡さまから「影響・適応」の最新情報について解説していただき、企業・団体はこの状況をどうとらえ、どう対応していくべきか、を考えました。
まず 、「温暖化」の問題意識について、確認しました。
1.温暖化が自社の事業に影響を与えつつあるでしょうか? (半分)
2.今後5~10年経てば温暖化の影響はますます強まると思いますか? (大半)
3.将来的な温暖化の影響について「どう備えるか」「どうチャンスに変えるか」について、社内で何らかの話し合いが行われているでしょうか? (少数)
国立環境研究所 社会環境システム研究センター(環境都市システム研究室) 室長 肱岡 靖明 氏
肱岡さま
肱岡さんは、IPCCの第2作業部会執筆者の一人として関わっていらっしゃいます。その視点から、報告書の大事なポイントを解説いただくと同時に、肱岡さんの専門分野である「影響と適応」についてお話いただきました。
生態系や生物においてはすでに影響が出始めていることに対し、自然科学の影響だけでなく、人間社会の影響も考えたうえでリスクを考えていく必要があること、最近の1~2年だけでなく、何十年分かの統計を取ってデータを分析する必要があることなど、詳しく解説いただきました。
また、IPCCの報告書への引用は、査読付き論文が中心となっていること、「適応策」も「緩和策」と同じように大事だと言われるようになる一方で、適応策は受け手が異なるのでひとつの目標が立てるのは難しい、といった事情についてもお話しいただいきました。
最後に、「組織として、影響の進行状況をしっかりモニタリングして「適応策」を取ることと、「緩和策」でしっかり削減することがともに大事であり、今後は総合的な環境対策が必要です。そのために、自社でモニタリングやデータをしっかり取って、シナリオを作成しておくことが重要です」と今後の対策として考えるべき点をいただき、締めくくられました。
<グループディスカッション(1)>
肱岡さんの解説を受け、下記5つの内容でグループディスカッションをしました。
自社にとっての温暖化の影響リスクを理解する
1. 温暖化の影響を実感しつつありますか?
2. どのような面で感じていますか?
3. 将来的な温暖化の影響に対する備えについて、社内で議論することがありますか?
4. 温暖化の影響に対する備えは、中期計画や経営計画に盛り込まれていますか?
5. どのような温暖化の影響が生じる可能性があるでしょうか?
< ワーク・ディスカッションのようす >
枝廣からはレジリエンスの話や世界の「適応策」のうごきについてご紹介しました。
上記をもとにグループディスカッションを重ねました。
< ワーク・ディスカッションのようす >
このコーナーでは、パートナー企業・団体さまから、みなさんの意見やアドバイスを集めたい課題や悩みについてお話いただき、参加メンバー全員でディスカッションして知恵を絞ります。今回は、石坂産業株式会社さまから、「三富今昔村に人を呼び込むにはどうすればよいか」というご相談をお持ちいただきました。
たくさんの集客につながるアイデアが付箋に書き出され、お土産として持ち帰っていただきました。
<石坂産業さんのプレゼン>
<みなさんから、たくさんのフィードバックをいただきました!>
懇親会のようす
次回の定例フォーラムは、7月2日(水)を予定しています。高知県の尾崎知事をお招きしての開催となります。
詳細が決まりましたら、ご案内をさせていただきます。
参加された方の声から
☆本日参加して、よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください☆
温暖化に対する適応については、日本がどれだけ遅れているかわかった。
異業種の方々と意見を交えて、業務を見直すきっかけになりました。
改めて環境分野でのビックデータに興味を深めましたので、今後勉強を続けていけたらと思いました。
“適応”については英国が進んでいること、自己チェック表などもあることなど、先進事例がわかった。
新聞などにはあまり見られない話が聞けた。
「温暖化と上手く付き合う」という視点で考える機会を初めていただきました。
適応策について考えるきっかけになった。なかなか目にする時間が取れないIPCCレポートの概要がわかった。
IPCC(R5)報告についてきちんと理解することができた。考え方が整理できた。
事業に直接関係するアイデア、ヒントをいただいた。
温暖化に対するリスクとチャンスは、社内でも検討を始めたところでしたので、大変参考になりました。
専門性が高く、理解するための予備知識が必要だと感じた。
☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください☆
環境に対するご意見を受け、実施レベルでチャレンジしていきたい。新たな切り口をもって対応したい。
温暖化対策の適応について、当社の事業継続のなかのインシデントとして今後も取り組んで行いたい。
「適応策」という考え方を年頭においた対応を考えていきたい。
適応の話は今後重要な中身と思うので、講義で紹介のあったHPなどを後で振り返りたいと思う。
緩和だけでなく適応を考え、プランを作りたい。
とりあえず部内で共有します(実は部内が一番無知だったりします)。
適応のビジネスをどのように創出できるか、既存の取り組みの延長で考えたい。
温暖化の影響について具体的な中身を学んで行きたい。特に熱中症やゲリラ豪雨の影響を知りたい。
これまで想定外だと思っていた自然現象は、やはり想定した製品作りをしないといけないと感じました。
リスク対策とビジネスチャンス拡大アクションの具体化検討や、環境中期計画策定の際に活用したい。
異業種として、他の視点からの取り組み方は参考になり、社内への情報発信の必要性も認識できたので、活用していきます。
Business Resilience、Health Checkがとても興味あります。