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第36回 SDGsとCOP21に向けて~企業は何を予期し、取り組むべきか(2015年9月18日(金)開催)

2015月08月12日 更新
開催終了レポート
 
開催日 2015年9月18日(金)
対象

イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま、オブザーバーとしてご参加の企業・団体の皆さま
(※同業他社の皆さまはご遠慮いただく場合がございます。)

ゲスト

株式会社大和総研 調査本部 主席研究員 河口 真理子さま

ファシリテーター

枝廣 淳子

参加人数

18社 24名、学生1名

開催レポート

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今年の重要なマイルストーンである「SDGs」と「COP21」。ミレニアム開発目標(MDGs)の後継アジェンダである「SDGs(持続可能な開発目標)」は先日、9月25日に国連で全会一致で採択されました。安倍首相も宣言のなかで、「持続可能な開発の実現に向けた我々の長年の努力が、歴史的なアジェンダの採択に結実した(中略)。日本自身がその一員として、国際社会と共にアジェンダ実施に最大限努力すること。」と語り、「COP21」ついても同様に「積極的に貢献する」と宣言しました。しかし、これほど重要なうごきでもあるにも関わらず、どちらも日本ではあまり知られていません。「SDGs」と「COP21」という枠組みがなぜ必要で、なぜ私たちにとって重要なのか、ESGリスクの視点からも大和総研の河口真理子さまに語っていただきました。


問題意識や課題の共有

<グループディスカッション>

今の段階で、自社(組織)、自分は、SDGsとCOP21に関してどれくらい認識し、行動しているのか。自己紹介を兼ねて共有しました(認識レベルと行動レベル)

  • 自社(組織)が認識しているとしたら、どこのレベルで認識しているのか(トップ、中間層、社員全員、環境部だけなのか)。
  • それぞれについて何らかの行動を起こしているか、取り組みをしているか。

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<グループディスカッション>

ひとりひとり、ビフォーアフターを考える

この時間を過ごすことで、今の段階(ビフォー)から、帰るころ(アフター)には、何を持って帰りたいか、何がどうなっていたいか。何に関心をもって何を期待するか。ポストイットに書いて、みんなに見えるように貼り出しました。

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 <講演>

「SDGsとCOP21の意味するもの~顕在化するESGリスク~」

 株式会社大和総研 調査本部 主席研究員 河口 真理子さま

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【目次】

~SDGsとCOP21~
・2015年の新たな国際社会の枠組み(SDGs)
・新たな枠組み 気候変動対策の強化、COP21の行方
・COP21の行方:このままでは2℃の目標達成困難!?

~私たちを取り巻く地球の状況~
地球の環境容量を越える人間活動
地球環境は、経済にとって最大のリスク要因に
気候変動は現在進行形
経済成長と資源使用状況 豊かさと環境は密接にリンクしている
この危機をもたらしたのは、私たちの間違った認識
既に気候変動は経済的なリスク(米国報告書 "Risky Business"より)
気候変動のリスクとビジネスチャンスの認識
投資リスクとしての気候変動・環境問題

~サステナブルな投資の潮流(SRIからESGへ)~
SRI(社会的責任投資)から ESG投資へ
世界のESG投資市場動向:[2014Global Sustainable Investment Review]より
拡大するESG投資―米国市場:6.5兆ドル(2014年初時点)対2012年 +76%
拡大するESG投―欧州 9.9兆ユーロ(2013年末)
アジアのESG投資市場(除く日本):2011→2013は年率22%で成長
欧米でのESG投資拡大の背景(2000年~)
世界のESG投資市場拡大のドライバー:PRI(責任投資原則)
PRI 前文と原則

~ESGを評価することの意味~
「社会貢献(CSR?)に熱心な企業は高コスト」という通説は正しい?
・ESGが示す価値 vs 財務が示す価値
ニッセイアセットマネジメント(株)による個別銘柄のESGレーティングとパフォーマンス評価
ESG要因が効く要因とは? 法制度などの枠組み・市場の注目度が左右?
すでにルールが確定しているCO2に関しては、5年間でも有意の差がみられる
企業情報開示の進化:企業価値の捉え方の変化
ESGとF(お金)の関係

結論 アプローチの変更が不可避:SDGs+COP21の精神を生かすために


<SDGs(Sutainable Development Goals)とは>
持続可能な開発目標で、ミレニアム開発目標( MDGs:2015年ターゲットの7つの社会開発目標)の後継アジェンダ

<COP21(Conference of the Parties)とは>
気候変動枠組み条約第21回締約国会議。1992年、国連の地球サミットで「気候変動枠組み条約」が採択され、2015年は、その21回目の会議となるCOP21がパリで開催。2020年以降の世界の温暖化対策の大枠が決まるため、大変重要な会議と言われています。

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<<講演概要>>

どちらも2015年の新たな国際社会の取り組みだが、残念だが、日本ではあまり知られておらず、SDGsは特に、環境・CSRの担当者でさえも、浸透していない。「周りがやりはじめるまでやらなくても良いだろう」、という風潮さえある。 

なぜ重要か、それは今回のSDGsの枠組み(下図)からわかるように、環境問題・社会課題が危機的状況であり、社会経済のしくみそのものの変革が必要だからだ。また、それは企業・組織のリスクにもなるし、対策を率先して進めれば、大きなビジネスチャンスにもなる。それを理解してもらいたい。 

地球環境・社会課題は長期の問題だから、ゆっくり・のんびり取り組もう、では間に合わない。いかにワガコトとして捉え、社内にも危機感を感じてもらうようにするのか、そのあたりの伝え方も文脈からこの場で考えていきたい。

※河口さまの関連最新レポート 

GPIFの国連責任投資原則(PRI)署名のインパクト (2015年10月2日)

新しくて古い「自然資本」という考え方 (2015年9月1日):ESG関連

 

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<グループディスカッション・質疑応答>

河口さまのお話を受けての感想や意見、さらに聞いてみたいことを共有し、河口さまから回答を頂きました。

質問例)

Q.どうやって経営者にCSRが戦略的に必要であると意識啓発をするのか? 

Q.「そこまで考えると疲れちゃう」という若い社員をどう巻き込んでいけばよいか?

Q.今の経済の仕組みをどうするか? 成長という概念をどう変えるのか?

Q.長期的な視点へ、どう導いていけばよいか?

Q.ESG情報はどうやって作っているのか? どこにあるのか?

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<グループディスカッション>

SDGsの17の目標をよみ、具体例を想像しながら、4つの項目(「環境」「社会」「経済」「その他」)に振り分る作業をしました。

まず、「大企業、多国籍企業」「中堅企業」「小企業および財団・団体、個人」の3グループに席替えしました。 それぞれのチームで、SDGsの17の目標をみながら、この目標はどういう意図があり、何を測ろうとしているのか、指標の例を参考にしながら、4つの枠(「環境」「社会」「経済」「その他」)に分類しました。そして、それぞれの枠に入ったSDGsの目標を実際に社内や組織で活かすにはどうしたらよいのか、具体的に方策を考え、グループ発表しました。

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<グループディスカッション>SDGsに関する今の課題や悩みについて

課題や悩みについて、これまでにやってみてうまくいったこと、いかなかったこと、下記をポイントにしながら、ヒントになることをグループ内で共有し、全体でも共有しました。 

  •  誰を変える必要があるか(経営者か、一般の社員か、CSR担当者か)。その人を変えることによって、大きく組織全体を変えることができるか(レバレッジとしての重要性は)?変えやすい人か?

  • これまでどういう取り組みをしてきたか。うまくいったこととうまくいかなかったことは、何か?

  • これから取り組みをする上で、何かヒントになることはあるか? これからはどう取り組んでいけばよいか、行動するうえで必要なものは何か。

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 <<枝廣からまとめ>>

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経営者に分かってもらうにはどうしたらいいか、社員にワガコト化させるにはどうすればいいか。「外圧タイプ」、「リスク強調型」は、社会的側面では有効である。「貨幣換算」や「ビジネスチャンス」という例もいくつもある。ところが、黒字化するまで10年かかることもある=短期的視点で考えていると実現は難しい。だからこそ、大切だということをどう伝えればよいか。自分が属している組織に則して考えることが必要

 

<PRタイム>

秋山記念生命科学振興財団 秋山さまより、活動PRをいただきました。

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・エネルギーチェンジ100ネットワーク

フィールドは北海道だが、いろんな活動家が集まって、100%再生可能エネルギーにしようと普及活動しています。

・トヨタ財団との共催で、再生可能エネルギーに関するフォーラムを開催します(終了しました)

日本を含めたアジア各国から再生可能エネルギーの実践者・研究者を迎え、夕張で再生可能エネルギーに関するフォーラム「地域の再生可能エネルギー」を開催します。

 

<事務局よりお知らせ>

今回開催のフォーラムについて、彩生舎 西村さまのブログでもご紹介いただきました!(リンクからご覧ください)

次回フォーラムは、11月13日(金)!を予定(内容未定)しています。内容が決まりましたら、こちらのサイトでご案内いたします。

 

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懇親会のようす

参加された方の声から

☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか☆

テーマが難しいと思って、ほかの会員さんがどのような活動をされているのか知りたかった。

SDG+COP21について企業がどのように考え(認識し)、どのような行動をしているか? を知りたかった。自分自身の問題としてSDGsなどを考えたかった。

CSRを推し進めるため、役員を説得できる情報やキーワード。

企業のこれから求められる転換について知りたかった。

COP21が企業に与える影響を学ぼうと思った。

SDGs、COP21について人に説明できるよう、まずは自分が基礎知識を押さえる。

SDGs、COP21についての知識を深める。今後の取組のヒントを得る。

SDGsをどう企業活動に落とし込むか。

SDGsについて知りたいと思った。河口さんのお話を聞きたかった。

SDGs、COP21の社内外への浸透の仕方。

SDGs、COP21について知ること(それがなぜ必要なのか、ということ)。

企業のSDGs/COP21への、or環境への取り組みを知りたかった。

SDGs、COP21に関する知識の取得。得た知識を社内のCSRにどう生かすか。


☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください☆

河口先生のお話がすごくわかりやすくてよかった。こんなに難しい話をこんなにわかりやすく話していただいたのは初めてかも。

いずれもよくわかった。ややWSが短いかも……。

河口様の講演で禁煙車の白黒逆転のお話がありましたが、たいへん多くの自分の知識が逆転してしまうお話をいただきました。

ESGの必要性や可能性がよくわかってよかった。

すばらしかった。自然資本会計からESG投資などに興味があったが、非常にわかりやすく解説していただけた。

河口さんのお話、情報(資料・出典)がとても勉強、参考になりました。

ワークショップの時間がもう少しほしい。

講演もグループワークもSDGs、COP21の問題を自分のこととして考えるよい機会になりました。メンバーとフランクに意見交換できてよかったです。

もう少しSDGsの中身も理解したかったが、それ以上に河口さんの「ESG投資の動向」の話が興味深かった。

自分でももっと勉強しないとダメだなーと思った。よいきっかけ。ディスカッションがテンポよくよかった。

ワークを交えながら、少し理解できた気がします。

実際の社内浸透方法を具体的に考えてみたい。

大変面白く感じました。ゆっくり資料を見ながら、もう一度頭を整理したいと思います。

河口さんのお話→新しい気づきが多々ありました。グローバルなお金の「意志」が大きく変化していることをあらためて知りました。

セミナーの進め方もとても参考になりました。テーマの設定、講師とも、とてもexcellentでした。

講演前後のワークがとても理解を深める助けとなった。ワークの時間がもう少しほしかった。

よかった点:伝え方の4ポイント①外圧②リスク③貨幣価値④Business Chanceがとてもわかりやすい。また誰を変えるか、どう変えるかを話し合うことで、頭の中が整理できた。

各企業の取り組みにおける悩みや、打ち手について伺えたことがよかった。SDGsについてはもう少し伺いたかった。

河口さんのレクはすばらしい。自分が実は何もわかってないことがわかった。

様々な意見を聞けて勉強になりました。

河口さんのお話はとてもわかりやすく、自然に入ってくる。もっと事前勉強をしておけばよかった。

☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください☆

自分でまずは文字に落として社内共有するか考えます。

自分たちの研究活動などに活かしていきたい。観念ではなく、具体で考えることが重要だとあらためて気づいた。そうした気づきをいかに活かしていけるか考えていきたい。

自分の情報不足による社内の影響力不足を反省しました。今回のお話から、まずは上長を説得してみます。

河口さんのお話で出ていたリソースを自分でも調べてみて、きちんとしたデータを保持したいと思います。

SDGsについて検討するきっかけになった。

具体的な活動に活かしていきたいと思います。

ESG情報の充実、信頼性の向上、ESG IRミーティング。

新会社に生かしたい!

河口先生の話がとても楽しかったです。本を読んでみようと思います。

プロジェクトを地元で企画します。

自分の環境Groupや友人にshareする。SDGsをshareしようと思います(個人的にもとても良い指標になると思います)。

具体的な意識、方法論として活用していきたい。

企業のCSR活動推進に活かしたい。

“黒船”という表現はとても的を射ていて、わかりやすかった。弊社は同業者のCSR担当者を呼んでセミナーを考えているので、このセミナーが黒船になればよいと思う。

各企業の打ち手+αにつていて共有する。

大学での授業展開、海外シンポジウムでのトーク(日本の取り組みと海外の差)、政策研究へのinput、書籍や論考の執筆。

SDGsへの理解と具体的Action。

次回のイベント・フォーラムの予定

次回フォーラムは、11月13日(金)!を予定(内容未定)しています。内容が決まりましたら、こちらのサイトでご案内いたします。

 

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