開催日 | 2018年2月9日(金) |
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対象 | イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま |
ゲスト | |
ファシリテーター | 枝廣 淳子 |
参加人数 | 22社・団体46名 |
2018年の年初の回は、2017年の振り返りと2018年の展望について皆さんと考えました。
2017年、社会面では北朝鮮のミサイルや各地で発生するテロや難民問題、そして経済を含めた多くの問題でトランプ政権による影響を強く感じる年でした。環境やサステナビリティ面ではパリ協定から2年が経ち、日本は世界的な脱炭素の動きから取り残されつつあります。しかしながら、日本でもESG投資やSDGsの動きが出てきています。
変わりつつある時代ということは、2018年はあらゆる組織・企業にとっても「分岐点」であることを意味します。今回は2017年を振り返りつつ、「分岐点」について個人で、グループで、さまざまな視点からじっくりと考える時間を重ねました。
2018年、そしてその先の持続可能な社会・経営の実現に向け、今回の学びが、活動するためのヒントになれば幸いです。
1. 2017年について振り返る
個人ワークをしたあとに、グループワークをし、全体共有をしました。課題については分類して結果を纏め、共有しました。
2017年を"サステナビリティ史"として考えた時に、自分だったら何を史実として残すか。グループで考え、各グループから一つ共有をしました。
パリ協定、SDGs、RE100、TCFD最終報告など、CSR・環境での注目のキーワードが集まりました。
2.枝廣からのレクチャー・共有
「2017年を振り返って~持続可能性に関わるアンケート」メールニュース読者のアンケート(124人)解説
一昨年も同じアンケートを行った。割合的には今年も同じ結果だったが、「世界の持続可能性への取り組み」「日本の持続可能性への取り組み」両方とも「悪化した」と答えた割合が増えている。地球環境は「少し悪化した」と感じる人の割合が増えたものの、「悪化した」と感じる割合は減っている。
世界の持続可能性への取り組み:19%→25% (2016年 → 2017年)
日本の持続可能性への取り組み:30%→38% (2016年 → 2017年)
地球環境 少し悪化した:29%→37%、悪化した:60%→48% (2016年 → 2017年)
中身をみると、世界の持続可能性の取り組みについて:トランプ大統領のパリ協定離脱はあるものの、再生エネルギーへのシフトも進んだとの回答がでてきている。一方、日本は原発再稼働や石炭火力発電の推進のほか、昨今の世界情勢から軍事や戦争リスクをあげる声も入っている。
2016年6位以降に挙げた項目の「中国関連」以外は2017年からは外れている。再エネ、EVシフトとノーベル平和賞受賞の影響か、核拡散禁止条約が入っている。
項目順位に大きく変動が見られた。2018年はエネルギーや原子力政策、そしてSDGsへの関心が高まっている。また、ESG投資など、投資を通じたビジネスを意識し、行動する機会が増えてきている。
こうした中長期の動向や俯瞰した時代の流れを企業の中で見られる立場なのが、環境・CSR部門の方々である。同時に、経営層、社員に伝えていかなければならない立場でもある。伝えていくうえで、参考になるようなインプットを以下に紹介する。
<分岐点>
自ら道を選んで進み始めた企業
立ちすくむ企業
分岐点意識もない企業
2017年、この3つがハッキリ色分けされてきた、というのがの私の所見。
ルート1:国内的な軋轢を何らか乗り越え、グローバル経済を先導する動向についていく
ルート2:「国内=デファクト」意識から脱却できず、グローバル経済から取り残され、ゆるやかに沈んでいく
例)資源循環やカーボンプライシングへのスタンス
<グループワーク>
欧州のESG投資の投資先選定担当チームになって、7つの質問を考える
各チームで7つの質問を考え、発表してもらいました。また、枝廣が考える質問も同様に発表しました。
少なくとも発表された内容に対して、準備をしておく。
<御社の経営層は......>
パリ協定は京都議定書と違い、26%→80%削減目標が5年ごとの見直しで、どんどん厳しくなることを理解・浸透させれば、投資判断が変わるはず。今のうちに手を打っておくこと。
<サーキュラー・エコノミー>
「資源循環を考え、廃棄する」という概念そのものを廃棄する。新しいビジネスモデル。
2030年まで:4兆5000億ドル 2050年まで:25兆ドル規模(経済損失額)
~世界の動き~
・世界:EU(オランダ、フィンランド、デンマーク、スコットランド、など)は国家ビジョンとロードマップを策定
・中国:
1)サーキュラー・エコノミーを目指す国家アクションプラン、「サーキュラー・エコノミー推進法」を策定
2)海外から固形廃棄物(例:廃プラ)を受け容れない(2019年末までに段階的に中止)
3.会場提供企業さまより、ご活動紹介:
●八千代エンジニヤリング株式会社
吉田 広さまより
1.Water Aid主催プログラムWater Innovatorsにて、「Best Innovation賞」を受賞
人材育成と社員参加型の社会貢献を組み合わせたプログラム。企業からエントリーしたチームが、専門的なスキルを得ながら、途上国に実際にある課題の解決策を考え、世界から参加している他のチームと競い合うというしくみで、2017年はニカラグアを対象とし、世界から46チームがプログラムに参加。2017年八千代エンジニヤリングでは、Best Innovation賞」を受賞。
課題に取り組む上では、地質、地盤、環境、河川、機械、まちづくりの専門技術者が集まり、現地の地域特性や社会情勢を踏まえたソリューションを提案しました。また、システム導入後に、村独自で持続的にシステムを運営できるようO&Mについても提案を行いました。
もう一つの課題である資金調達については、クラウドファンディングや社内外で募金活動を行ったほか、早稲田大学のサークルが主催する100キロハイクに参加し、活動をTwitterやInstagramで発信することで、活動に対する関心や寄付を募りました。
2.水リスクラボ(企業の「水リスク」、まとめて解決)
背景:CDPに代表されるグローバルな水問題もあり、地域特性を活かした水を利用。
国内外のインフラに地形地質気象に関して調査解析をしている実績から、さまざまな企業のお手伝いができる。
<事務局よりお知らせ>
次回は5月15日(火)を予定しています。ぜひ、奮ってのご参加、お待ちしております!
懇親会のようす
次回は5月15日(火)を予定しています。テーマは未定です。
参加された方の声から
☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか(抜粋)☆
世界の最新動向をご説明いただき、理解する。(3)
CSRなどに関する最近の動向。
サステナビリティ全般のアップデート&メンバーの方々との交流。
2018年の方向性を考えるうえでの参考にしたい。(2)
昨年のSDGsの気づきのような動きから、今年、実際にアクションをしていくための知見やヒントをいただきたかったです。
今年1年のキーワード他、「分岐点」というお話は腑に落ちました。昨年同様、1年を振り返り、1年を見通す、そんな時間を年のはじめに共有できることが貴重なひと時です。
新しい学び。
「これからの時代をどう生き抜くのか?」の答えを自分なりに持ち帰るということでした。
2017年トピックスの振り返りと2018年にどういったことが課題問題になるのか、世界の動き、、最新の情報などを学ぶこと。
2017年に起こったこと、社会世界の動向を知る。
中長期で見たグローバルの潮流、トレンドとしておさえておくべきことを知りたく、参加しました。
世界の環境に対する取り組み、考え方を学びたい。そのなかで私たちは何をすればよいのか知りたい。
2017年の振り返りと2018年のトレンドを知る。他社の皆さんの意見を聞く。
変革する社会が企業に与える影響と企業の取り組み。
ESG投資、SDGs、環境問題などの最近の動向。
民間企業の環境意識。ESG投資、SDGsなどへのアプローチ方法。評価ツール、考え方、グッドプラクティス。
SDGs、ESG投資など環境CSRの世界的な最新情報を知り、自社の技術でビジネスをどう創り出すかを考えたい。
2018年の道標を見つける!!
エダヒロさんのアンテナに最も関心がありました。
自社の取り組みの方向性などについて考えたり、知見を得たいと思った。
「エダヒロの見方」、昨年のプラネタリーバウンダリーズの追加情報。
現状打開策のヒント入手。
環境問題と各企業の取り組みの変化。
自分の把握していないキーワード。
多様な見方。
他業種の方たちとの交流。
最新情報の収集ができた(後半)。サーキュラーエコノミー、カーボンプライシング。
世界と日本の動向を把握するのに非常によい機会だと感じたため今後も可能であれば参加させていただきたいと思いました。
☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください(抜粋)☆
勉強になったのと普段接しない企業の方々との意見交換がおもしろかった。
最近の動向を知ることができ、非常に参考になりました。また、自分で、また複数人で考える手法もいろいろ参考になりました。
これまで最も人数多く活気を感じました。今年もよろしくお願いします。
もっと難しい話かと思っていましたが、ワークショップも含めわかりやすかったです。
もりだくさんの内容で勉強になりました。分岐点という言葉がとても納得できるものでした。
いつもながら、異なった分野の参加者の皆様のお話が興味深かったです。ワークショップのテーブルでも、参加するたびに「信頼感」ができてくる感じ、いい意味で私は勝手に仲間同志を得たような。
CEについて勉強してみたいと思っていたので、ちょうどよかったです。後半のワークの時間が短かった。
課題が明確になりました。
グループワークも多く、2018年についていろいろと考えられたし、他の人の意見も聞くことができて、とても充実した時間を過ごすことができました。
昨年の国内外の大きな流れや自社の取り組みを関連させていろいろと振り返り、考えることができ、また、他社の皆様の取り組みを知ることができ、充実した勉強会でした。2018年度話題になりそうなこと、エダヒロ先生の注目されていることは知らないことも多く、たいへん勉強になりました。
情報を知ることができてよかった。これからのヒントになることもあった。
いろいろ知らない言葉があった。世界標準を知ることができた。
ESG投資の評価軸(7つ)を考えながらの情報開示が必要と感じた。サーキュラーエコノミービジネスの在り方が変わる。CSR部門だけでなく、営業部門と共有すべき内容だと感じた。
世界対日本を比較して説明くださったのでわかりやすかった。具体的な企業の取り組み内容が聞けて勉強になった。
おもしろかったです。サステナビリティ、CSR、ESGへの各社の考え方がおもしろい。知らないキーワードもあり勉強になった。
企業の取り組み事例もあり、理解しやすかった。前半のワークがやや長かった感あり。
自分の知識が乏しかったので、わからないことも多かったが、わからないことを知れたのがよかった。
振り返り、意見交換、楽しかったです。もう少し、深い話もしたかった。
普段使わない頭をフル活動させて疲れました。
ワークが学びにつながりました。
大企業の企業経営を少し聞いて、?がたくさん。
よかった点:情報てんこもり/悪かった点:時間通りに発言できなかった(こちらのミスですが)。
グループワークの時間が少し長く感じました。もう少し席移動していただきたかったです。
2017年の振り返りなど、自分自身、会社について見直すことができた。
サーキュラーエコノミーは、アパレルの現場では、我が事として取り組める感じがしました。
現状の改めての認識ができた。
ちょっと全体にホワっとしていた。もう少し深掘りしてほしい。PPTが文字ばかりで見にくい。
企業研修のような印象を受けた。そのような位置づけが不明のまま進んでいったため、どのようなスタンスで聞くべきかとまどった。
もりだくさんで私には難しい内容でした。
前半パートは特に目新し内容はないと感じた。
普段の業務では得ることのできない情報にたくさん触れることができ、大変有意義な勉強会でした。業界を超えて認識を同じくする場があることは非常によいことだと思いますし、参加者同士で
対話しながら取り組むワークも多く、身に付く学びが多かったと感じました。枝廣先生のファシリテートのおかげもあり懇親会も楽しく、多くの方とお話させていただくことができました。
イーズ未来共創フォーラムに参加し、枝廣先生の考えに触れ、また参加された異業種の方々との意見交換を通して、近い将来に世界で起こりうることについて考えるとてもいい機会を与えていただけたと感じています。再エネ業界に従事していながら、世界及び日本の環境を取り巻く政策や企業の考え方について知らなかったことが多く、一つ一つのトピックがと大変興味深く、勉強になりました。とてもいい経験をさせていただきましたことに感謝し、また参加する機会があれば、是非参加させていただければと思います。