開催日 | 2020年1月28日(火) |
---|---|
対象 | イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま |
ゲスト | |
ファシリテーター | 枝廣 淳子 |
参加人数 | 21社・団体33名 |
毎年恒例の年初の回は、「2020年・年初に考える~これからの時代をどう生き抜くのか」をテーマに考えました。
2019年の年始の回では、気候変動の顕在化は予想をしていたものの、実際は想定をはるかに超え、人類・文明史のなかでも歴史的転換の年だったと思っています。なぜそう思ったのか、2019年を振り返るとともに解説しています。
そして私が「2020年注目・注力するテーマ」としてピックアップした「10の問題意識」を紹介しました。
環境・社会・経済とさまざまありますが、企業や組織にとってのポイントは、これらのテーマに限らず、自分たちが気づいていない課題は何で、リスクやチャンスは何かに経営層自らが気づくことです。そのためには、いかにアンテナを立て、仕組みづくりをしていけるのかにあると思っています。
そのためのヒントやきっかけになればうれしいですし、また今年も引き続き、この異業種勉強会で皆さんと望ましい未来を創っていきたいと思っています。
- できたこと、進んだことは何か
- 新たに出てきた課題は何か
- 課題は認識しつつ、手が打てなかったことは何か
- 台頭しつつある動きを感じたが、十分調査・分析など取り組みができなかったことは何か
個人ワークをしたあとに、グループワークをし、全体共有をしました。課題を分類すると、プラスチック、SDGs、気候変動、サーキュラーエコノミー、ESG投資、再エネ、乗り物、人権、地域経済、社会課題のビジネス化、人口減→産業、人びとの理解、企業課題などに纏めることができました。
2.「持続可能性に関わるアンケート」解説
2019年12月に環境メールニュースの読者向けに「持続可能性に関わるアンケート」を実施、その結果をお伝えします。
・「悪化している」が年々増大。8割を超える人びとが「前年度より悪化している」と感じている(2018年64%、2017年48%)
・「良くなった」はついにゼロに
→ 日本で温暖化の影響が顕在化したことが一番の影響だろう
2.日本持続可能性への取り組み
・「良くなった」はゼロ。「変わらない」、「悪化」が増えている
3.2019年の「持続可能性に関わる10大ニュース」
・1位 地球温暖化の影響
→前年とランキングでは変わらないものの、甚大な被害をもたらした台風の影響等により、人数が大きく増加
・2位 グレタさんの活動、気候ストライキ
→若者の活動が全世界的なムーブメントになったことの影響(ただし、日本での影響はない)。日本では、グレタさんの国連での演説等一般のニュースでも
取りあげる機会が増えたことで注目はされてきているが、良いうごきとしての評価であるかは不明
【エダヒロの視点】2019年は人類文明史上、歴史的に見て転換点にあった
気になっていたことは心配な方向に進んでいる。昨年一年間と区切れるわけではないが、昨年は人類文明史上、歴史的に見ても転換点の年
<転換点と思う理由>
日本は加害国としてだけでなく、被害国に(GERMANWATCH-Climate Risk Index 2020)。被害はもはや途上国だけの問題ではなくなってきたのが、昨年の特徴にある。この結果は日本人のメンタリティにも影響するだろうし、正しい行動を取る方向に引っ張っていけるとよい。
(メディアのうごき)ニューヨークタイムズ等での一般紙でも温暖化に関する情報を多く目にするようになっている
(自治体・大学・研究機関のうごき)気候非常事態宣言
(イーズのウェブサイト:宣言した都市/自治体、学会・研究機関、宣言を求める請願・運動を一覧表示)
<気候非常事態宣言の重要な3つのポイント>
1. 気候危機の現状認識、および其の認識が科学に基づいていること
2. 認識を背景に、野心的な高い目標
3. 目標を達成するための具体的な施策
世界ではすでに1000を超える自治体が気候非常事態宣言を出している。特に宣言内容の形式が決まっているわけではないが、この3つのポイントを大体踏まえており日本でも最初に宣言した壱岐市も持っている。ただ最近出しているところは、1)認識していても、2)の目標がすごく甘かったり、3)の施策が十分でなかったりと、質が落ちていると言わざるを得ない状況にある。
宣言することが目的になってしまっていないだろうか。
日本の多くの自治体や研究機関等から、ぜひ気候非常事態宣言をたくさん出して欲しいと思うものの、認識を表明するところだけが増えても物事は変わらないため、せめて高い目標とそれを達成するための施策をセットにして宣言して欲しい。
また、日本の場合は、ゼロカーボンを宣言している自治体も多い。そのため、そういう自治体は、気候非常事態宣言を別に出さなくとも、ゼロカーボン宣言で高い目標を設定し、施策を出し、動いていればよいと思う。
<日本のうごき>
「レジ袋有料化」の内容を見て、何が目的で、何が達成できるのかがわからない。国内のレジ袋の使用は年間20万トン程度で、1年間に出る廃プラ全体の約2%。とすると、今回の施策の影響も限定的とみられる。もちろん、その先に何かの目標や戦略があっての今回の有料化であれば理解ができるのだが、正直見えてこない。
<海外のうごき>
例)・New Plastics Economy Global Commitment
・NGO+米カーペットタイルメーカー インターフェイスの取り組み「ネット・エフェクト」
日本語では動物福祉とも言われるもの。「動物たちは生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、幸福(well‐being)な状態でなければならない」―欧米ではこのアニマルウェルフェアに配慮した畜産動物の飼育が広がっている。
(世界の流れ)
今年開催の日本でのオリンピック・パラリンピックでは、畜産物調達におけるアニマルウェルフェアの基準はイギリスの時点もよりも大幅に後退するとみられている。
8.世界のキーワード:リ・ローカリゼーション
(※番号はスライド「自分の問題意識」と合わせています)
もう一度地域に食・エネルギー・人材など手綱を取り戻すことが、レジリエンスにつながるうごき。今少しずつ広がりつつある。スペインの動きが活発。
9.スマートな減少へ
10.対話・社会的合意形成
人口減少を抑えつつ、減少する人口に合わせたまちづくり
これまで自治体は住民に広く薄く公平であろうと進めてきたため、住民もそれが当たり前で権利と思っている。今後は、何かを「増やす」、「変えない」という選択肢はなくなるだろう。人口減で税収や交付金も見込めないことを考えたら、すべてに答えることは現実的にできなくなるからだ。
そして、どこから減らすか、また長期的に重点投資する先はどこにするか、といった話の際には、首長、議員や役場職員だけで話し合うのではなく、町民を巻き込んで話をしていかなければならない。そのような時に、対話・社会合意形成が重要になってくる。いろいろなセクターや立場の考え方の人たちがいる中で、対話の作法やスキルを学びつつ、どう前に進めていくのか。お手伝いしている自治体も増えてきているので、この会でも学びをいかしながら、いっしょに進めていきたいと思っている。
東京ガス株式会社
サステナビリティ推進部 萩原さま
【東京ガスについて】
・2019年4月にサステナビリティ推進部の発足
・1885年創業
・創業者:渋沢栄一 (今年創立130年)
・従業員:16,000人(連結)
・事業:ガス、電力、エネルギー
<渋沢栄一が大事にしてきた理念>道徳経済合:公益を追求し、正しい道で企業を経営しながら同時に利益を得る
→東京ガスとしても大事にしており、DNAにしている
・2030年ビジョン:これまでの事業であるガス・エネルギーとともに、他の事業も進めていく(AIやIoTなどのデジタル技術を基軸に、さらなる効率化や高付加価値化などを目指す「LNGバリューチェーンの変革」を中心に)
<事業について>
・ガス:原料の調達から輸送まで。4つのLNG基地でバックアップ体制も整えながら、製造・供給し、お客様先では、より省エネ、省CO2になるような普及・拡大をしている。再エネとの組み合わせも提供中
・電気:送電網を使いつつ、提供中
<社会・環境問題への取り組みと今後>
・LNG導入から50年(石炭・石油からを切り替え、LNG導入決断):公害問題とエネルギーの需要逼迫の課題解決のために、新たなエネルギーが求められ、LNG導入をしたことは大きな転換点となった
・今後:エネルギー事業の強みを生かしつつ、他の分野でも事業を進めていくためにセクターを超えた企業・NGOなどと手を組みながらやっていきたい。
活動はこちらからもご確認をいただけます
<事務局よりお知らせ>
◇ 次回フォーラムの予定
コロナウィルスの感染拡大の影響のため、現在のところ開催は未定となっております。事態が収束しましたら、改めてご連絡をいたします。
参加者の皆さんと
懇親会のようす
コロナウィルスの感染拡大の影響のため、現在のところ開催は未定となっております。事態が収束し、決まりましたら、改めてご連絡をいたします。
参加された方の声から
☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか(抜粋)☆
自分達が気づいていない社会の動き注目すべき課題をしること
異業種の方が環境問題についてどうように捉えているか知りたかった。枝廣先生から環境問題の今について学びたかった
サステナビリティなどについて世間の動きや他業種での状況について知りたいと思い参加しました
毎年、この回だけは参加できる様にしています。今年も課題が絞られました
物事の評価基準に関する材料探し
2020年にみておくべきキーワードの把握/2020年のトレンド理解/CSR、サステナビリティの動向
社会課題についての理解、自分も刺激をいただき、今後についてより深く考えること
2020年の動向を枝廣さん視点で捉えたい
3.11の後のエネルギー会議での枝廣さんの戦いや今、下川で新しくやられていることなどのお話も お聞きしたかったです。これはご講演をお願いする方が良いですね。色々な文化の方とお話できて良かったです。企業の感覚が実感できました
小規模企業として、どういう意識をもって、どういう取り組みや判断をしていくか、考えたり、学ぶことができればと思い参加しました
2020年にあたってのマインドセット
普段、環境をメインに業務に当っているが、どうしても知識が偏るので、枝廣先生が見る2019年2020年の動向を聞きたかったため
普段会うことができない様々な業種の方々のお話をきくこと、枝廣先生の様々なお話を通じ最新の情報を得ること
今年、大事なことに対応して動けるように、自分を意識づけること
2020年の自分の活動/日々の行動の目の向けどころ/アンテナをみがくため
課題山積みの今、どれから優先順位をつけてCSV的に戦力を立てるべき事を学びたかった
自治体とのつながる社会課題のみつけ方
SDGsと自分の仕事内容の接点の確認
2020年の環境問題のテーマ、問題意識知見の拡大
今年の課題を考えるきっかけ参加者の方の視点
自社の課題の発見と解決方法のヒントをつかむ
現在の社会観について枝廣先生の見解を伺うこと。WEBアンケートの集計結果の確認
☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください。☆
新しい動きを社内でかなり入手できていることを確認しました。一方で目を向けていなかった大事な事を再認識することができました
あまり自分の意見が言えなかった。皆さん感度が高く自分の不勉強さが恥ずかしかった
色々な角度で多くの情報や刺激を得られ大変参考になしました
忘れていたことを思い出させてくれた、異業種の方の視点考え方を知ることができた、改めて自分の頭が整理できた
様々な業種立場の方の意見を伺うことができた点、逆に同年代で同じ課題(よりミクロな視点)を持った方の勉強会もあると良いと感じました
ポイントを理解できた/期待通り
2019年の整理もできてよかったです、取り組むべき方向性が見えたのが良かったです
何か、答えがみつかったわけではないが、意識の高い皆さんと意見交換ができ意識のかわるきっかけとなりました。自分達の事実に反映できるところはどう実践していくか、今後考える時間を設けたい
他社の皆さんのご意見は参考になった
お話をお聞きし、対話させていただくことで大きな気づきがありました
他の受講者の方が考える課題は改めて知ることが多く面白かった
地域が持続可能でいるために何をすべきかヒントを得た感じが強い
自分だけでは想定できない課題について幅広く考えることができた
情報が多くて本当に良かったけど、アップアップです、来てよかったです
参加者の皆さんの温度差、世界と日本の差(遅れ)が知れた、トレンドも分かり、自社はこれから取り組むべき事が見えてきた
色々な点の社会課題を見つけられました、ディスカッションで顔を柔らかくできました
地方創生と環境解決の接点を理解できた
大変勉強になった、異業種の人とのワークショップが良い
席替えがとてもよい、色々な方の意見が聞ける
終盤の情報を吸い上げていく仕組みが大切という内容は納得感が得られた
期待以上の充実感でとても勉強になりました。特に枝廣先生の問題意識の解説が自分の考え方の整理に役に立った
☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください。
今日学んだ社会の流れを地域の言語に落として話せるように。地域のおじいちゃんおばあちゃんも気仙沼を後世に無事に残したいという思いは同じかなと
社内の意識が高まるよう貢献したいです/社内・自部署での共有・展開/頭の中が整理されて、帰って他社に伝えるためのストーリーがはっきりしました/会社の同じ想いを持つ人間と対応を協議する
具体的な社会実装業務につなげていく
社会的合意形成のスキル作法
自社の新たなビジネスモデルの検討に活用したい
ありがとうございました。 日本世界の状況をこうして整然とおうかがいできる機会とてもありがたいです
まずは、会社にもどっていくつかポイントや事例もまじれて話をしたいです。情報のマウトプットをどうやっていくかを探りたいです
今後、当社のSDGsマテリアリティを考える上で参考にしたい
ビジネスの社会価値を高める努力をしてまいります
地域経済の再生活性化に向けて取り組んでいきたい
「減少する人口に合わせたまちづくり~どこからやめるか」これまでも考えてきたつもりですが、様々な課題を見つめる中で、今日すごく突きつけられた感じがしています、年初に良い宿題をいただきました
CLUB SDGSで様々な情報を出していますが、それをどう評価するのか参照基準として利用していきます
社外世界のリスクを社内に取りいれ、迅速に動ける仕組みを早く軌道に乗せていきたい
まずは行動!行動!動きたくなりました
普段の新規事業開発の中で生かしたい/自社のCSR活動の内容を充実させる為に活用したい
ソーシャルデザインソーシャルビジネスの実践に役立てていきたい