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第65回 2021年・年初に考える~これからの時代をどう生き抜くのか(2021年1月27日(水)開催)

2020月12月21日 更新
開催終了レポート
 
開催日 2021年1月27日(水)
対象

イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま

ゲスト
ファシリテーター

枝廣 淳子

参加人数

14社・団体16名

開催レポート

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年始一回目のフォーラムは恒例の「前年の振り返りと今年の展望」をテーマに開催しました。

昨年は新型コロナウイルスにより、多くの変化が生じ、"ニューノーマル"と呼ばれる、これまでとは異なる世界となりました。企業経営・環境経営を考えるうえでも、大きく変わる転換点となり、そして今もなお危機は続いています。

今回のフォーラムでは、2016年来続けている環境メールニュース読者対象の「2020年持続可能性に関するアンケート」の結果の報告を、これまでの結果と比較しながら見ていきました。そして、私が注目・注力する「2021年の11のテーマ」についてお話させていただきました。お伝えした内容やグループワークが、皆さんの「望ましい変化」を生み出すためのヒントになればうれしいですし、引き続き皆さんと一緒に考えていけたらと思います。

また、今回は「相談タイム」も復活しました。「相談タイム」は相談者の方はもちろん、お話を聞いた皆さんも他社のお悩みを自身の視点で考えるトレーニングになりますので、ぜひ次回以降もご活用いただけたらと思います。


『2021年を展望する』枝廣淳子

1. 2020年について振り返る

  1. できたこと、進んだことは何か
  2. 新たに出てきた課題は何か
  3. 課題は認識しつつ、手が打てなかったことは何か
  4. 台頭しつつある動きを感じたが、十分調査・分析など取り組みができなかったことは何か

<参加者のみなさんからのグループディスカッションより(一部抜粋)>

  • 課題はコロナの中で情報を正しく伝えることの難しさを痛感
  • プラの海洋汚染について、プラスチックを回収。川幅にネットを張って回収。海中でCO2を回収。ブルーカーボン
  • (新たな課題)社員教育。社員の主体性(本部長クラス)を発揮させるには

◎2020年の「持続可能性に関わる10大ニュース」を選ぶとしたら・・・?

<環境メール読者回答>

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<参加者のみなさんからのグループディスカッションより(一部抜粋)>

  • コロナの影響:
    家族との時間・幸せ、家庭菜園増、オンライン化、新しいビジネスが生まれた、人の大きな流れ・動き、地方移住が増えた オフィスの移動、手洗い・うがいの習慣化、格差の広がり(国家レベル、国内レベル)、貧困と虐待の加速、分断、CO2排出量の減、家庭からのプラゴミが増、フードロスが増、地球にとって生きるとは、一時的マスク不足、価値観の変化
  • 首相の脱炭素宣言
  • 大統領選
  • 黒人差別に対するうねり(Black Lives Matter)
  • 気候変動による森林火災(オーストラリアなど)
  • 漁獲量の減少
  • 世界の女性リーダーの活躍(ドイツ、ニュージーランド)
  • レジ袋有料化
  • 飲食店、小売店での大豆ミートの発売
  • SDGsがメインストリームに

2.2020年を振り返って~持続可能性に関わるアンケート解説

対象:枝廣淳子の環境メールニュース読者

2020年12月に環境メールニュースの読者向けに「持続可能性に関わるアンケート」を実施、その結果をお伝えします。

<地球環境>

・悪化した・少し悪化した(57%)> 良くなった・少し良くなった(42%)、変わらない(17%)

→それでも例年に比べれば、良くなった・少し良くなったが大きく改善。

理由:コロナで経済が停滞し、CO2減

 <世界の持続可能性への取り組み>

・悪化した・少し悪化した(24%)< 良くなった・少し良くなった(53%)、変わらない(23%)

→例年に比べ、改善

理由:SDGsの盛り上がり、米国大統領の交代、危機意識の変化

 <日本の持続可能性への取り組み>

・悪化した・少し悪化した(25%)< 良くなった・少し良くなった(46%)、変わらない(29%)

→例年に比べ、大幅改善

理由:政府の2050年脱炭素宣言、SDGsの浸透、企業の取り組み

 <自分の所属する組織や地域の持続可能性への取り組み>

・悪化した・少し悪化した(17%)< 良くなった・少し良くなった(40%)、変わらない(43%)

→悪化が少し増えているが、大きく変化せず。

悪化理由:コロナの影響であまり・ほとんど活動できなかった、少子高齢化、後継者不足も。

良くなった理由:企業・自治体の取り組みが加速、環境意識の高まり、変化

 <自分自身の持続可能性への取り組み>

・悪化した・少し悪化した(5%)< 良くなった・少し良くなった(63%)、変わらない(32%)

コロナにより意識や行動に変化が起きた

◎2021年、持続可能性に関わるどのような動向に注目するか

<参加者のみなさんからのグループディスカッションより(一部抜粋)>

  • 脱炭素と原発の位置付け
  • 第6次エネルギー基本計画
  • バイデン政権による分断から共生へ
  • 地方移住の可能性(分散化)
  • ツーリズムの在り方
  • 変わりつつある資本、経済のひずみ
  • 環境メール読者回答

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2. エダヒロの2021年の注目・注力テーマ

・2019年、2020年:エダヒロの注目・注力テーマ

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・エダヒロの2021年の注目・注力テーマ

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1.   具体・実績ベースの温暖化対策

これまでは「2050年までに80%」→「実質ゼロ」宣言

産業界も走り始めたが、大事なのは実際の排出量・削減量などの実績。投資判断になり、企業の選別が始まっている。操業の許可書が必要になってくるだろう。

2.   ゼロカーボンからマイナスカーボンへ

省エネ、再エネなどのこれから排出するCO2の削減も大事だが、CO2は数十年から数百年残るため、すでに排出してしまったCO2の除去も必要。

3.  環境正義・気候正義という視点

バイデン政権のプランでもクリーエネルギー革命とともに並び「環境正義・気候正義」が謳われている。サプライチェーンをたどって考える。この視点が大事になってくるだろう。参考図書:『地球が燃えている』

<参考図書>

『地球が燃えている』、『DRAWDOWN ドローダウンー地球温暖化を逆転させる100の方法』

【音声講座受付中】第105回「幸せと経済と社会について考える読書会」『地球が燃えている 気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』を読む

出版の経緯・ワークショップのご案内 (ドローダウン・ジャパン・コンソーシアムWebサイト)

・「書籍購入特典」 ドローダウンの書籍購入について、今回特典で紹介ワークショップの割引などがあります。

4.  コロナ禍の企業の社会的責任

5.  レジリエンスの重要性

問題は一つではなく、様々な予測不能な衝撃が不可避な時代。「しなやなか強さ」が求められる。その個人・組織・地域・社会が外部からの衝撃・影響に対してどれほど持ちこたえることができるのか。

6.  SDGsスタートアップ

7.   Regenerative agriculture(再生型農業)

8.   「ワン・ヘルス」アプローチ

地球と人と動物におけるそれぞれの「健康」を一つのものとする考え方(起源:マンハッタン原則)。人や動物、環境によって構成される生態系(Ecosystem)が健全でなければ、すべての生物が生存できないこと。今回の新型コロナウイルスが蔓延した背景としてもワン・ヘルスは注目されている。人と動物の距離感=エコロジカルディスタンスが守ることが重要である。

9. 産業政策としてのサーキュラー・エコノミー

「プラごみの排出抑制」を超えて、アップサイクルを目指す技術的イノベーションとサーキュラー・エコノミーを実現する社会的・連携イノベーションが必要

10. アニマルウェルフェア

動物たちは生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、well(良好な)-being(存在)の状態でなければならない。

  • 鶏の飼育環境
    • バタリーケージ:飼育面積はB5サイズ/羽。身動きすらできない。餌を食べて、卵を産むだけ。
    • エンリッチドケージ:飼育面積は750㎠/羽。産卵場所、敷き材、止まり木あり。
    • 平飼い:屋内の地面に放し飼い
    • 放牧:屋外にも出ていける

→日本の養鶏場の92%がバタリーケージ。世界ではバタリーケージ廃止、さらにはケージ自体の廃止方向へ。流通・小売企業もケージフリーへ。

  • 薬剤耐性菌の問題

成長を促す抗生剤の投与により、薬剤耐性菌が増える。

→そもそもアニマルウェルフェアが配慮されていれば、病気予防につながり、抗菌剤を減らすことにつながる。EUはアニマルウェルフェアに配慮した飼い方を進めている

  • 企業のアニマルウェルフェア通信簿
    BBFAW(英国の動物愛護関連NGO、Compassion in World FarmingとWorld Animal Protection、Coller Capitalの3者が運営)

企業のアニマルウェルフェアの取り組みを毎年調査・発表。機関投資会社31社はBBFAWの畜産動物愛護宣言に署名

11.  「企業のあり方」~悩める青年の模索

  • 企業の学習曲線、急加速!
  • 企業とは?企業の目的とは?資本主義とは?どうあるべきか?経済とは?

こうしたことを考える企業が増えている。地殻変動的変化。
米経営者団体ビジネス・ラウンドテーブル(2019年8月9日)でも 「企業の目的に関する声明」と題された公開書簡を発表宣言文がだされている

<社会課題の発見・解決>

地域貢献として、SDGsの取り組みとして、新規事業創出として。

  • ニュー・ローカル

地元に足をつけて、「リアル」の手ごたえを得ながら生きる。

これまでの距離的・地理的・時間的制約を超えて学び、つながり、ローカルのリアルを伝え、先へ進む。その知見や成果を、ローカルに還しながらローカルとより大きな世界を自由に行き来し、両方をはぐくむ。

  • 企業ゼミ(準備中)

グローバルとローカル、アカデミックの調査研究とフィールドで実践をつなぐ。皆さんもぜひご一緒に。

最後に

今は「VUCA」の時代。大きな変化の時代だからこそ、ぶれない軸を作る。そのために古典に学んでいる。

※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったもの

個人・組織としてリーダーとして大事なのが、ぶれない軸を自分のなかにどうもつか。そのために古典に学んでいる。近代的西洋思想の行き詰まり(極端な効率や数字)が環境・社会問題を引き起こしているところがある。東洋思想にヒントや解がある。東洋思想の第一人者である田口佳史先生に弟子入りし、現在東洋思想から自分のリーダーシップを育てるセミナーを行っている。

2021年4月13日≪オンライン≫変革リーダーセミナー「東洋思想からの学び:リーダーとしての自分を磨く」(「論語」編)


相談タイム

ライオン株式会社 小和田さま

ライオンさまのご活動状況を共有いただき、サステナビリティ課題の社内浸透とどう広げていくかの相談に対して、グループワークで考えました。


 <事務局よりお知らせ>

◇ 次回フォーラムの予定
次回は4月16日に開催します。吉高まりさまをお招きして、ESGをテーマにお話をいただきます。ぜひ次回も奮ってのご参加をお待ちしております!

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         参加者の皆さんと

参加された方の声から

☆実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください。(抜粋)☆

・枝廣さんの2021年のキーワードをうかがえたことはとてもよかったです。

・ヒントがありました。2019~2020~2021のトレンドを整理できたのはよいです

・展望に関する部分よりブレークアウトセッションがこまごまと多く慌ただしかった。参加者同士の共有はもう少し少なめでいいのではないでしょうか?

・まったく認識していなかったトピックもあり、勉強になりました。

・資本から利益を生み出すのみならず幸せを生み出すということが、深く印象に残りました。

・企業の方だけでなく、意識の高い多様な立場の方と話せて興味深かったです。

・枝廣さんの注目テーマにはドキッとするものがあり、情報量が多く非常に勉強になりました。ドローダウンのご紹介を下さり感謝申し上げます。

・枝廣先生のレクチャーを、参加者のみなさんとのブレイクアウトセッションで深めることができたのはよかったです。

・環境正義、ニューローカル等、今年もキーワード満載でした。

今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください☆

・2021年注目・注力テーマは、大変印象に残りました。まず取り組めることから、少しずつでも始めていきたいと思います。有難うございました。

・それぞれのキーワードに対して自社がどうしていくのか、ぜひ部内で議論していきたい

・アニマルウェルフェアは、動物愛護の精神だけではないこと、人間への影響(健康)があるためであることについて、なるほど、と思いました。言葉は聞いたことあるものの、表面的な確認だったともいます。このことだけでなく、改めて意やっている意味を見直していきたいと思います。

・ぜひ、熱海の事例など詳しく知りたいと思いました。

・更なる、従業員の物心両面の幸せを感じる経営(仕事に生きがいや使命感を感じる人は、感謝の気持ちを持ち環境負荷の少ない行動やむだな争いを好まない気がしています)と、サスティナブルが犯されそうになっている現実や解決法としてエリア内での協業事例を伝えること。

次回のイベント・フォーラムの予定

次回は「ESG投資」をテーマに4月16日(金)を予定しております。ゲストスピーカーは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング 吉高まりさまです。ぜひ次回も奮ってのご参加をお待ちしております!

 

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