幸せ経済社会研究所(東京都世田谷区、有限会社イーズ内、所長:枝廣淳子
http://www.ishes.org/)は、本日、「自治体の幸福度や真の豊かさ等の指標化や政策目標への考慮状況に関する調査」報告を発表しました。
本調査は、昨今のGDPではない社会進歩や幸福度、真の豊かさを計測しようという動きについて、日本国内の地方自治体における取り組みを調査する目的で行われました。調査方法は、アンケート調査とそれを補完するWEB調査によって行いました。
調査対象は、47都道府県52政令指定都市/県庁所在地、加えて取り組みが報道されている2自治体(東京都荒川市、富山県氷見市)の合計101自治体としました。アンケート調査への回答率は全体で55%でした(都道府県62%、市区50%)。(回答状況については参考資料1)
調査の結果、回答を寄せた自治体のうち、22自治体が幸福度や真の豊かさを指標化する取り組みを行っていることがわかりました。うち、13都道府県の合同プロジェクトが1種とその合同プロジェクトに参加している熊本県が独自に進めている指標もあることから、指標化の取り組みとしては11種存在することがわかりました。
幸福度や真の豊かさを指標化する際には、「あなたは幸せですか?」等主観的幸福度を尋ねるアンケート調査をベースとする方法と、幸福度に関連すると考えられる客観的な統計データをベースとする方法があります。また、複数の数値データをウェイト付けしてまとめる統合化をおこなって「1つの数字」として指数化する方法と、そのような統合化をせず、複数のデータ群として指標化する方法があります。今回の調査では、各自治体がさまざまな考えで工夫をして指標化の試みを進めていることがわかりました。
なお、調査対象の4分の1にあたる25自治体で、政策目標に幸福度や真の豊かさを考慮していることがわかり、指標化の有無は別として、幸福度や真の豊かさを政策目標に採り入れる自治体がかなりの割合存在していることがわかりました。
もともとGDPは、開発者であるサイモン・クズネッツが「GDP では、国の豊かさはほとんど推し量ることはできない」と警告を発していたにも関わらず、日本を含め世界中で国の進捗や影響力の大きさを測るものとして使われてきており、自治体でも、都道府県別GDPといった形で、自治体や地域の豊かさを測るひとつの重要な指標として考えられてきました。しかしここ数年、「GDPは増えても幸せになっていないのではないか」「本当に大切なのは何なのか?」という議論が日本でも世界でも盛んになってきています。
今回の調査で、日本でもかなりの数の自治体が、世界や国レベルでの動向を受け、また住民や地域社会のニーズを汲んで、「幸福度や真の豊かさを政策やその進捗を測る指標にしよう」というさまざまな取り組みを始めていることがわかりました。
弊研究所では、今後も内外の動向や洞察を発信しつつ、国内の自治体・企業などの動きを支援・応援していきたいと考えています。
本報告書は有限会社イーズの主宰する「幸せ経済社会研究所」ウェブサイトからダウンロードできます。
※参考資料を含めたPDF版プレスリリースは
こちらをご参照ください(2012年9月26日更新)
※本報告書は
こちらからダウンロードをお願いいたします(2012年9月26日更新)
【修正履歴】
(2012.9.14)
・p.5 表1,p.15 表6, 「ふるさと希望指数プロジェクト」参加県に、"長野県○"と"宮崎県"を追加。
・p.5 第3段落 誤「指標化の試みを行っているのは21自治体」→「指標化の試みを行っているのは23自治体」,p.16第1段落についても同様
・p.5第3段落 「その合同プロジェクトに参加している熊本県が独自に進めている指標もあることから」を追加
・p.7 表3,p.24 表に、以下の2行を追加。
荒川区 荒川区基本構想、荒川区基本計画
氷見市 第8次氷見市総合計画
(2012.9.19)
・p.6 第2段落 1行目「7指標」→「8指標」。3行目「荒川区」→(削除)。3行目「ただし、(以下省略)」の1文を削除。
・p.6 表2・p.19表8 「GAH(荒川区)」について、「統計」列から「両方」列へ移動。
・p.18 表7 荒川区の行、手法の列について、「統計」の前に「アンケート調査、」を追加。
(2012.9.26)
・熊本県についての記述を変更。主に、アンケート調査のみを用いていること、図14の追加を行った。
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