92歳のシャーリーと86歳のヒンダが自分たちだけの力で「経済成長」についての答えを探す姿を描いたドキュメンタリー映画「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」のパンフレットに、エダヒロがREVIEWとキーワード解説を書かせていただきました。
ぜひ劇場でパンフレットを手にとってご覧ください!
(9月19日~絶賛公開中)
「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」
http://www.shirley-hinda.com/#wrap
===以下、「REVIEW」全文掲載===
REVIEW
枝廣淳子
「経済成長」と聞いて、どんなイメージがわきますか? 「成長」という言葉が入っているとなんとなく「幸せ」のイメージと結びつく人もいるのではないでしょうか。
経済学の厳密な意味でいうと、「経済成長」とはGDPが増えることです。経済成長は映画の中にも出てきますが、失業や環境問題をはじめとするあらゆる問題の解決策だと信じられてきました。
でも、経済成長は本当に、「幸せ」に結びついているのでしょうか? GDPが増えれば雇用が増えるはずなのに、実際のデータを見ると、多くの国では、GDPの増加にも関わらず失業率が上がっています。また、GDPが増えれば、環境問題も解決されるはずなのに、いまだに二酸化炭素も急増しつづけ、温暖化の被害がそこここで出始めているのは、ご存じのとおりです。
私はこれまで、アル・ゴア氏の『不都合な真実』を翻訳するなど環境分野で十数年活動してきました。でも、環境問題を解決しようと思ったら、その根本的な原因をなんとかしないと駄目だと感じるようになりました。
シャーリーとヒンダも貧困などの社会問題をどう解決できるのか、根本的な原因は何かを探しに専門家たちに聞いてまわります。私と同じように感じている人生の大先輩たちが、車いすに乗りながら答えを探し求め、困難にぶつかってもあきらめない姿に、勇気をもらいました。2人のユーモアたっぷりの会話に笑いつつも、一緒になって「経済成長」を追い求めた結果はどうなってしまうのだろうと考えました。
「経済成長のためにはどんどん買い物をしろというけど、物が増えて本当に幸せ?」とヒンダは問います。みなさんもこの2人と一緒に「経済成長」と本当の豊かさや幸せについて考えてみませんか。