現在発売されている『通販生活』(2019年春号)にエダヒロの著書『アニマルウェルフェアとは何か--倫理的消費と食の安全』の書評が掲載されています。
掲載誌は現在、書店やコンビニエンスストアで発売中のほか定期購読が可能です。お求めはカタログハウスのウェブサイトからからお手続きください。
カタログハウスさんのご好意により、該当記事を下記に掲載させていただいています。ぜひご覧ください。
ーーー通販生活 2019春号の誌面よりーーー
「死が決まった動物はいかに生きるべきか」、動物福祉を考える。
アニマルウェルフェア(以降AW)という言葉を初めて聞く人は多いだろう。直訳すると動物福祉。背景にあるのは「動物たちは生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、幸福(well-being)な状態でなければならない」との考え方だ。本書は、日本でAWがあまりにも軽視されているので改善すべき、と指摘する。ここまで読んでペットや毛皮製品の話と早とちりすることなかれ。これはあなたが今朝も食べた、卵や食肉の話だ。
鶏、豚、牛、生産効率を追求した結果、自然とは掛け離れた状態で育てられているケースがある。「どうせ食べるのだから、AWなんて考える必要はない」という考えもあるだろう。だったら、人間もいずれ死ぬのだから、人間らしく生きられなくてもいいのか?
印象的なのは「新技術が突き付ける技術の問題」のコラム。「鶏が苦痛を感じなくなるよう、大脳皮質を取って育ててはどうだろう。鶏はもう、感情を感じないから」。でも、私たちはそんな肉が食べたいのか? 「死が決まった動物はいかに生きるべきか」、内省のきっかけが、いたるところにちりばめられている。
著者は『不都合な真実』の翻訳で知られる環境ジャーナリスト。ブックレットで読みやすい。 評者*松浦ネイル
p. 205