2024年12月20日
一般社団法人海士町未来投資委員会
有限会社イーズ
2024年12月20日、一般社団法人海士町未来投資委員会(島根県海士町)と有限会社イーズ(東京都台東区)は、海士町未来共創基金によって未来投資された「海の魅力と安心をつなぐマリンサービス事業」の社会的インパクト評価(SROI評価)の結果を発表しました。評価の結果、同事業に未来投資したことでもたらされた社会的価値のSROI値が2.13であることがわかりました。これは、評価期間の1年間に、1万円の投資に対して2万1300円に相当する社会的価値が創出されたことを意味しています。
今回は同基金が2022年に未来投資を行った「海の魅力と安心をつなぐマリンサービス」事業がもたらした社会的変化を対象に評価を行いました。同基金は、海士町に支払われたふるさと納税の一部を原資に未来投資を行っています。同マリンサービス事業は、船舶の修理やメンテナンス、船舶免許取得支援などを行っています。海士町では数年間船の整備工場がなかったことから、離島でしかも漁業が盛んな海士町に本事業が与えるインパクトは大きいことが予想されました。
評価の結果、同基金が「海の魅力と安心をつなぐマリンサービス事業」に未来投資したことでもたらされた社会的価値のSROI値は2.13でした。これは、評価期間の1年間に、1万円の投資に対して2万1300円に相当する価値が創出されたことを意味しています。さらにこのプロジェクトによって作り出された社会的価値は、心理・社会・経済・環境の4分野にわたっていることが明らかになりました。主な結果は次の通りです。
・心理領域
海士町という離島で船の整備施設が復活したことによって、漁師やプレジャーボート所有者の安心感が向上したことを確認できました。海士町では、以前は3箇所あった船の整備施設が、数年間にわたり途絶えていたため、船のメンテナンスや修理には隣の島や本土までいかなくてはなりませんでした。それを島内で行えるようになる安心感は非常に大きいことが確認されました。
・社会領域
海士町内の貴重な資源を有効活用していることが確認されました。技術をもった人物が船の整備事業を開始し、それにより島内にあった機材も有効活用されています。
・経済領域
整備や修理のために隣の島に船を運ぶ必要がなくなったことによって海士町内からのお金の流出を防ぐ効果があることが確認されました。
・環境領域
隣の島に船を運ぶ必要がなくなったことによる二酸化炭素排出量の削減が確認されました。
社会課題などを解決するための取り組みが、社会にもたらす変化を「見える化」する社会的インパクト評価の一手法で、SROIはその中でも、社会的価値を金銭価値に換算して可視化することに特徴がある手法です。「社会にとって良いこと」の価値を、経済的な価値として見える化することで、投資を行う際などの参考にできます。有限会社イーズではSROI評価の測定など社会的価値の「見える化」業務も行っています。
https://www.es-inc.jp/visualize/index.html
「人づくり」と「仕事づくり」の好循環をさらに促進するために、海士町へのふるさと納税を原資に、島の未来に繋がる事業へと投資・共創を行うために設置された基金です。申請の条件は「下限500万」「海士町の未来につながること」の2点。
https://ama-future.org/
経済的リターンだけではない、未来への投資。投資(広義の意味での投資)することで未来をつくること(造語)
自立・挑戦・交流を掲げる海士町では、官民が一体となり、さまざまな挑戦が生まれています。それらの挑戦を応援する体制の一つである「海士町未来共創基金」を活用し、5つの新たな事業が立ち上がりました。これらの事業の創出は、経済的な価値だけでなく、島全体にとって多くの意義を持っています。島民や応援者の皆様にこれらの事業の意義を理解していただくことは、その持続可能性を高めるとともに、海士町の次なる挑戦への架け橋となります。
海士町には、昔から、助け合いやお裾分けの文化が根付いており、経済だけでは測れない価値を重んじる文化があります。このような目に見えない価値が、長年にわたって島を支え続けてきたのです。今回のSROI評価では、事業が立ち上がってから島や周辺に与えた影響を「見える化」し、その価値を整理しました。
このような背景の中で行ったSROI評価は、単純に経済的な指標ではなく、これらの事業がもたらす多様な価値を大切にし、広く共有するための大切な一歩です。島で立ち上がった各事業が持つ本質的な意味を伝え、海士町の未来をさらに豊かにするための基盤を作ることにつながります。
また、「海士町未来共創基金」は、海士町ふるさと納税を原資にしており、様々な使途の中から「海士町未来共創基金に関すること」を選択し寄付をしていただいています。つまり、この基金を通じて、間接的に海士町の未来共創に参画いただいています。そのような寄付者からの海士町への応援の願いに対して、海士町未来共創基金から生まれた事業の意義を分かりやすく伝えることが責務だと考えております。それが、海士町の次の応援につながることを願ってSROI評価を行いました。
※本リリースのPDFはこちらをご覧ください
<本件に関するお問い合わせ>
海士町未来共創基金事務局(AMAホールディングス株式会社)
TEL:08514-2-0017(役場交流促進課内)
Mail:miraitoushi@ama.town
有限会社イーズ
TEL:0557-48-7898
Mail:info@es-inc.jp