アセスメント・見える化業務支援
なぜ、「測り、見える化すること」が重要なのか
環境負荷削減でも、社会価値の創造でも、地域経済の活性化でも、社員や住民の幸福度の向上でも、どのような取り組みにも大事なことが2つあります。
1つは「現時点の状況」、つまり「スタートライン」を知ること。「スタート前の状態」を測らずにダイエットや運動を始めても、取り組みの効果があったかどうかのフィードバックが効きませんから、効果的な取り組みを進めることは難しいでしょう。同様に、どのような取り組みでも「現時点の状況」をきちんととらえることは必須です。
もう1つの大事なことは、「取り組みの影響や成果を測り続けること」です。取り組みを計画したあとは、実施→効果測定→次の取り組みの計画→実施→効果測定......と続けていく、つまり、PDCA(計画→実行→振り返り→計画)サイクルを回していくことで、着実に目標に向かって進んでいくことができます。
「測定して見える化する」ことの重要性を認識した上で、2つ大事なポイントをお伝えしたいと思います。
1つめは、「目的によって何を測るかが決まる」ということです。ダイエットや運動の例にしても、体重を落としたいのなら体重をはかりますし、脂肪を絞りたいなら体脂肪率をはかるでしょう。同じダイエットや運動でも、目的によってはかるものが異なるはずです。「何を変えたいのか?」が測るもの(指標)を決めます。
もう1つの大事なポイントは、「私たちは、測りやすいものを測りがち」ということです。体重や体脂肪率は測りやすいですが、ダイエットや運動によって、もっと幸せになりたい、自己肯定感を向上したい、と思っていた場合、幸福度や自己肯定感はより主観的なものですし、測定方法も決まっていません。
往々にして、本当に大事なものは簡単には測れないのです。品質管理の大家エドワード・デミングは、「測らなければ管理することはできない」と述べる一方、「経営で大事なことのうち、実際に測れるのは3%しかない」とも言っています。
「測る必要があるが、測りにくい・測り方がわからない」場合、測りやすいものを測って代理指標にしようとすることがよくあります。本当は社会や人々の幸福度を測るべきですが、それが難しいため、GDP(国内総生産)を測って、国の進歩の指標としているのも、その一例かもしれません。「測りやすいものを測りがちだが、それでよいのか?」と自問すること、測り方をくふうして、できるだけ本当に測りたいものを測れるようにしていくことを忘れてはなりません。
持続可能性の3本柱に関わる指標について
持続可能性の3本柱は、「トリプル・ボトムライン」と言われる「環境」「社会」「経済」です。それぞれの「測定・見える化」について考えてみましょう。
「環境」の分野
環境問題が大きくなってきたこの数十年間に大きく進展しました。企業でも「CO2排出量」「水の消費量」「森林資源の消費量」「廃棄物の排出量」などを測定し、CSRレポートなどに掲載して、見える化することはふつうに行われるようになっています。
「社会」の分野
今まさに発展中です。企業がSDGs(国連の持続可能な開発目標)の取り組みの一環として、何かのプロジェクトを行った場合、その「社会的なインパクト」をどう測るのか? 働き方改革を行うことで、社員の幸福度がどのくらい向上したかをどう測るのか? 環境分野の測定のように、定まった測定方法があるものは少なく、現在、さまざまな測り方が提案され、試され、研究されています。
「経済」の分野
企業でいえば、これまで使われてきた売上や利益、ROI(投資回収率)などに加えて、「その企業がどのくらいその地元の経済に貢献しているのか」への関心が高まっています。また、自治体や地域では、「地元経済の黒字部門は何でどのくらいか? 赤字部門は何でどのくらいか?」を測り、見える化することで、「現在、域外に流出してしまっているお金を地域の中で循環することで、外からのお金の流れが減っても、豊かな地域経済が回り続けるようにしたい」という要請が高まっています。このような「地元経済への貢献度」や「地元経済の現状」を測って見える化する動きも、始まっています。
イーズの研究員チーム「アセスメント・見える化ユニット」
イーズではその必要性と重要性を認識し、「大事なもの・変えたいもの」を測定し、見える化する「アセスメント・見える化ユニット」を立ち上げました。以下の本ユニット担当スタッフの専門知識とスキルを活用して、環境負荷、ソーシャルインパクト、幸福度、地域経済の現状などを測定・計算し、効果的に「見える化」するお手伝いをしています。
小野雄也主任研究員 (LCA、産業連関表)
東京都市大学大学院 環境情報学研究科にて、博士後期課程を修了〔博士(環境情報学)〕。博士論文は「日本およびアジアを対象としたウォーターフットプリント評価基盤の開発と活用」。日本学術振興会 特別研究員として、シドニー大学に留学後、東京大学 生産技術研究所 沖大幹研究室の特任研究員として研究に従事。開発したウォーターフットプリント原単位データベースは産業技術総合研究所の環境負荷データベースIDEAにも採用されるほか、企業の環境負荷削減に役立っています。それぞれの企業のニーズに寄り添ったLCAプロジェクトを設計・実施しています。
また、産業連関表作成及び分析、地域経済に関する講演を担当。地域の経済規模や構造、漏れている金額(移輸入額)や外貨獲得額(移輸出額)の推計をすることで、その地域経済の現状を見える化し、より持続可能な地域経済へのシフトをお手伝いしています。
地域経済に関する講演・ワークショップ等も多数実施。
小野あかり主任研究員 (LCA)
東京都市大学大学院 環境情報学科研究科にて、博士前期課程を修了〔修士(環境情報学)〕。修士論文は「化学輸送モデルを用いた影響評価手法の開発と越境移動を考慮した大気汚染フットプリント分析」。環境研究総合推進費(S‐14)に参画し、数百を超える国内外の文献を対象にメタ分析を行う等、調査業務の経験が豊富。またCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)を対象にGHG以外の環境側面を含めた包括研究を初めて実施するなど企業研究の実績あり。多面的な観点から「見える化」することで、課題解決のお手伝いを行います。
新津尚子主任研究員 (社会調査)
社会調査の専門家。東洋大学大学院社会学研究科社会学専攻博士後期課程を修了〔博士(社会学)〕。
質問紙を用いた調査やインターネット調査の設計、分析、集計を担当。調査の目的や組織・地域の実情に合わせて、丁寧に調査を設計し、ニーズに合わせた分析を行うことができます。これまで、一般的なアンケート調査のほか、買い物調査や幸福度調査、社会的インパクト評価など、様々なタイプの調査を設定・実施しています。
その他、リサーチや執筆も担当しており、幅広く課題解決のお手伝いをします。
枝廣淳子:環境CSRコミュニケーションの専門家
心理学等に基づく実効性のあるコミュニケーションの立案・実施を行います。
イーズ「アセスメント・見える化ユニット」の主なサポート領域と実績をご紹介します。