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「日本でも貧困は問題になっているけれども、他国と比べると貧困層は少ないのではないか」と思っている人も多いかもしれませんが、実はそうではありません。
「貧困率」という言葉はこれからもよくお目にかかると思いますが、2種類の「貧困率」があるので、何かを読むときにも区別する必要があります。幸せ経済社会研究所サイトの「キーワードコーナー」の解説を引用します。
貧困率とは、どれくらいの割合の人が貧困状態にあるのかを表す数値です。貧困には大きく分けて2種類あり、先進国の貧困を表すのによく使われるのが相対的貧困、発展途上国の貧困を表すのによく使われるのが絶対的貧困です。
「絶対的貧困」とは、収入や支出がある基準(貧困線)に達していない状態を指します。国際的な基準としては、世界銀行が2015年に設定した1日あたり1.90ドル未満という基準がよく使われています。
世界銀行によると、2017年には1日1.90ドル未満で暮らす貧困層は、約6億9600万人(世界人口の約9%)いたと推定されています。これは1990年の約19億1300万人(約36%)と比較すると、大きく減少していることがわかります。さらなる取り組みが必要ではありますが、絶対的貧困層が大きく減少しているのはとてもうれしいことです。
では、もう1つの貧困とはどのようなものでしょうか? 相対的貧困率は、国民の所得の中央値(所得の低い額から順番に並べたときにちょうど真ん中の額)の半分未満の所得しかない人々の割合を示すものです(*)。つまり、この場合の貧困層とは、国民の大多数の人よりも貧しい人々のことを指しています。
データが提供されているOECD加盟国36カ国のうち、相対的貧困率がもっとも高かったのはコスタリカ(20.5%)、2番目が米国(18.0%)、3番目はイスラエル(16.9%)、そして日本は8番目(15.7%)でした。逆に貧困率がもっとも低かったのはアイスランド(4.9%)でした【グラフ参照】。
日本では15.7%、つまり7人に1人が相対的な貧困層だということです。これまで「貧困問題は途上国の問題であって、日本では大きな問題ではない」と思っていた人も多かったのですが、現実はそうではなく、早急に国内の貧困対策にも力を入れる必要があります。
* OECDでは、等価可処分所得の中央値の半分の金額未満の等価可処分所得しかない人の割合を算出しています。
※2013.8.31 初版公開
※2017.8.30 情報更新
※2022.3 情報更新
(新津 尚子)
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参考資料
OECD (2022), Poverty rate (indicator). doi: 10.1787/0fe1315d-en (Accessed on 25 January 2022)
The World Bank,Regional aggregation using 2011 PPP and $1.9/day poverty line(Accessed on 3 February 2022)