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エダヒロ・ライブラリー環境メールニュース

2008年06月30日

国を引っ張っていこう!東京都とカリフォルニア州のエール交換(2008.06.30)

温暖化
 

6月も、温暖化をめぐって世界も日本もめまぐるしく動きました。日本でも「2050年までに60〜80%削減する」という目標を福田ビジョンで打ち出した記念すべき月となりました。

日刊温暖化新聞の6月の記事タイトルのリストを、末尾につけておきますね。世界の動きをぜひざっとご覧下さい。

6月最後の記事は、めずらしく日本の記事でした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

東京都、CO2排出削減を義務化

6月25日、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」の改正案が東京都議会で可決成立した。地球温暖化対策を強化するため、温室効果ガスの排出量が相当程度大きい事業所への総量削減義務と排出量取引制度を新たに導入する。

対象となるのは、燃料、熱および電気の使用量が原油換算で年間1,500キロリットル以上の事業所。現在、これらの事業所は、温室効果ガスの削減対策計画等の作成・提出が義務づけられているため、都はこの内容を基に、各事業所の削減のベースとなる排出量(基準排出量)を算出し、削減義務率を掛け合わせて削減義務量を決定する。

削減義務の履行手段としては、省エネ対策や再生可能エネルギーの利用等、自らの事業所での削減対策のほか、他者が義務量を超えて削減した量を取得できる仕組み (排出量取引)を導入する。

新制度の実施は2010年度からで、計画期間は5年間。第一計画期間は2010年度から2014年度、第二計画期間は2015年度から2019年度。削減義務の履行を確認するため、事業者に対しては、「削減対策計画書」「進捗状況報告書」等の提出・公表を義務づける。


この記事の原文(日本語)を読む
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/05/20i5g400.htm
□参考:「地球温暖化対策計画書制度」の強化:制度イメージ
http://www.metro.tokyo.jp/INET/KONDAN/2008/03/DATA/40i3v101.pdf

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

[No. 1460] に書きましたが、日経シンポジウム「地球温暖化防止、世界と日本」で、
http://www.es-inc.jp/lib/archives/080402_080434.html

石原都知事が、「東京は、EUと米国の主要州などで構成する国際炭素取引協定(ICAP)に入るつもりです。それで国を引っ張り込むことができます。2010年から排出量取引を進めるつもりです」と発言されていました。

この排出量取引(キャップ&トレード)がいよいよ東京都で始まるのですね! この準備中に、同じくキャップ&トレードの準備を進めるカリフォルニア州と東京都が書簡を交換しており、ホームページで読むことができます。
http://www2.kankyo.metro.tokyo.jp/kikaku/kikouhendouhousin/index.htm#california

国としては米国も日本もなかなか動きが鈍いですが、自治体はがんがん進んでいこうじゃないか、というエールの交換でもあり、社会へのアピールでもあるのでしょう。書簡をご紹介します。(メールの読みやすさのため改行を入れています)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここから引用〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

2008 年2 月28 日
気候変動対策における東京都のリーダーシップへのご賛同に関して

親愛なる石原知事

東京都の温暖化ガス排出量削減における幅広い一連の取組の展開及び実施のご尽力に、賞賛の意を表させていただきます。また、更なる取組の推進に対して、我々の機関からの助力についてもご提案したいと思います。気候変動による脅威に対しては、待ったなしの行動が求められており、一刻も早く、政府のあらゆるレベルで、温暖化ガス削減に向けた取組を開始する責務があることを、カリフォルニア同様、東京都もご認識のことと思います。

都が設定された、2020 年までに2000 年比で25%の温暖化ガスを削減するという目標は、野心的な、しかし、達成可能な目標であります。その目標達成に向けた取組として、「東京都気候変動対策方針」の中で提案されている排出量取引制度を実施されることを、強く推奨したいと思います。

キャップ・アンド・トレード・プログラムは、最小のコストで大きな削減量の達成を図ることのできる重要な機会を与えてくれるものだと考えます。カリフォルニア州は、温暖化ガスの排出量を2020 年までに1990 年レベルに削減するよう総量削減義務を州規模で導入し、現在目標達成に向け、プログラム導入の作業を行っています。

プログラムの構築に関する詳細については、今年後半まで明らかにはできませんが、州規模の計画には、電力分野やその他の大規模固定発生源を対象とした、キャップ・アンド・トレードを含める予定です。東京都の排出量取引制度は、カリフォルア州や国際炭素行動パートナーシップ(ICAP)の他の参加都市とともに、排出枠の取引を行うことが可能であるかもしれません。そして、それは、炭素排出枠市場の深化に寄与し、全ての参加者にとって、コストの削減に貢献することになるでしょう。

さらに、都の気候変動計画には、予定されているキャップ・アンド・トレード制度に加え、中小事業所に対する排出量削減の支援策など他の重要な施策も含まれています。カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)は、カリフォルニアの電力及び天然ガスの使用量を削減する先駆的な省エネルギープログラムの長い歴史を持っています。これらのプログラムは、払い戻し制度や機器の買い替え支援など、よくデザインされた対策や社会の広がりは、エネルギー消費量を大幅に削減することが可能であり、他の発電所や燃料、運営経費などに使用されるはずだった、消費者の何十億ドルものコストを削減することが可能であるということを示しました。

長年の省エネルギープログラムの経験に加え、CPUCは、家庭部門及び業務部門における太陽光発電やその他の分散型エネルギー技術の設置を支援する払い戻しプログラムとともに、2010 年までに投資家が所有する公益事業が少なくとも20%の再生可能エネルギーの購入を求めるRPS制度の実施を監督しています。

また、偏って費用や温顔化ガスの排出量の増加に影響する時間帯であるシステムピーク時における電力消費量の削減を図る需要反応プログラムについても、積極的に推進しています。

CPUCは、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用、需要反応プログラムなどによる、最も効果的な温暖化ガスの排出削減手法について、アイデアや教訓を交換させていただきたいと思っています。

東京都の温暖化ガス削減計画の実施の成功をお祈りしています。何らかの方法で、CPUCが東京都の取組を支援できることがございましたら、おしえてください。また、環境負荷や、我々のエネルギーシステムにおけるカーボン・フットプリントを低減するカリフォルニアの様々なエネルギープログラムについての資料を同封させていただきました。今後とも、カリフォルニア州と東京都の両者にとって利益をもたらす連携を引き続き行っていけると信じております。

カリフォルニア州公益事業委員会
委員長 マイケル R.ピーベイ

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2008 年3 月19 日
カリフォルニア州公益事業委員会委員長
マイケル.R.ピーベイ 様

東京都の進める気候変動対策への賛同のお手紙をいただき、感謝申し上げます。石原知事の指示により、東京都の環境行政を所管する私からお返事を送らせていただきます。

カリフォルニア州が連邦政府を凌ぐ積極的な気候変動対策を開始されていることは、我が国でも良く知られております。東京都もまた、2002 年度から大規模な温室効果ガス排出事業所に対する削減計画書の策定を義務づけるなど、これまで、国の施策を大きく先取りする、我が国で最も先進的な気候変動対策を展開してきました。地球温暖化の危機を回避するため、率先して積極的な対策に取り組むという点で、東京都とカリフォルニア州は、同様の高い志をもつ自治体であると思います。

東京都は、これまでの気候変動対策を更に発展させ、2010 年度から大規模排出事業所に対する総量削減義務と排出量取引制度を導入する予定です。この制度は日本初の総量削減義務であると共に、大都市に多いオフィスビルなどの業務部門をも対象とするという点で、世界でも初の取組になると考えています。昨年来、ステークホルダーとの意見交換を進めてきており、来年度、条例化を行う予定です。

大規模事業所への削減義務に加え、中小規模事業所からの省エネルギー報告書制度、大規模な建築物への省エネ性能の義務化、住宅への100 万キロワット相当の太陽エネルギーの導入、家電製品への省エネラベル制度の展開、低燃費自動車利用ルールの策定など、様々な気候変動対策を展開していくこととしております。

東京都は、石原知事のリーダーシップのもと、2003 年から使用過程車をも対象とする都独自のディーゼル車排出ガス規制を行い、東京の大気環境の劇的な改善に成功した実績を持っています。気候変動対策においても、東京が先行して対策を強化することにより、日本全体の取組を牽引していく所存です。

日米それぞれにおいて、中央政府の環境政策をリードする東京都とカリフォルニア州が、相互の経験を交換することは、計り知れない重要な意義を有するものと確信します。今後、様々な形で連携を進めてまいりたいと思います。

東京都環境局長
吉 川 和 夫

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜引用ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

以下、6月の日刊温暖化新聞の記事リストです。

短い見出しや記事の陰には、必ず熱い思いの人がおり、この東京都とカリフォルニア州のように、あちこちでの刺激や支持、情報や応援が交換され、協力や協働が行われているのだろうなあ、と思います。ぜひそんな思いで、見出しをご覧下さい。


2008年06月01日
日本政府、アフリカ気候変動適応策で国連開発計画に9,210万ドルを拠出

2008年06月02日
全米市長会 気候安全保障法可決を上院に要請

2008年06月03日
グリーンピース、熱帯雨林破壊に歯止めをかける新計画を発表

2008年06月04日
米国の風力発電: 2007年は46%増、3年連続で世界一の伸び

2008年06月05日
米農務省報告書:気候変動が農業、土地・水資源、生物多様性に及ぼす影響

2008年06月06日
日独首脳、洞爺湖サミットについて協議

2008年06月06日
日英首脳会談、物価の高騰に対処することで一致

2008年06月07日
NASA報告:「人間」「気候」「地球影響」の関係が明らかに

2008年06月08日
ドイツの新再生可能エネルギー法、投資条件強化

2008年06月09日
カナダ初の環境取引市場、本格始動へ

2008年06月10日
報告書:大規模太陽熱発電への税優遇は地域の分散型発電を阻む

2008年06月11日
2008年OECD閣僚理事会:気候変動の経済も議題に

2008年06月12日
新地図でアフリカ大陸の環境変化が明らかに

2008年06月13日
メタン大量放出が悲惨な気候変動を突然引き起こす?

2008年06月14日
WWF報告書:テレビ会議は気候変動対策に有効

2008年06月15日
気候変動を緩和する取り組みが雇用を伸ばす

2008年06月16日
研究報告:海中窒素の1/3は人間由来

2008年06月17日
国連気候変動ボン会議終了 「気候変動枠組条約は困難な課題」

2008年06月18日
MIT分析:EU排出量取引制度は順調に機能--今後の参考に

2008年06月19日
英政府、バイオマス燃料供給業者に補助金

2008年06月20日
国連報告書:世界の難民数、2年連続で増加

2008年06月21日
米上院、過半数は温暖化対策法案の前進を支持

2008年06月22日
持続可能な建設 南米7都市で進む

2008年06月23日
独仏首脳、自動車の二酸化炭素排出規制を受け入れ

2008年06月24日
空の旅のCO2排出量を知ろう -- ICAOが計算ツールを公開

2008年06月25日
米国環境保護庁、企業向け気候変動対応の手引を発行

2008年06月26日
米独首脳会談:気候変動対策に関する認識を共有

2008年06月27日
英国グレーター・ブリストル、国内初の自転車都市に

2008年06月28日
EUの2006年排出量データ:京都議定書削減目標に向けさらに前進

2008年06月29日
ケニアのタナ川デルタ、バイオ燃料用サトウキビ畑に

2008年06月30日
東京都、CO2排出削減を義務化

 

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