「再起力」「復活力」などと訳されるresilience(レジリアンス/レジリエンス)について、このメールニュースで最初に紹介したのは、2006年7月6日に出した[N0.1217] でした。
> 6月21~22日ワシントンで開催された『ビジネスと持続可能な開発会議2006』
> を皮切りに、システム思考の会合のほか、いくつもの取材や見学、意見交換など
> をおこなった1週間あまりの米国出張で強く感じたことをいくつか書き留めてお
> こうと思います。
>
> 今回のワシントン会議全体のキーワードも「レジリアンス」(弾力性。しなやか
> な強さ、という感じです)というシステム思考でももっとも重要な概念でした。
>
> 何かあったときにポキッと折れてしまう会社と、何かあってもはね返してさらに
> 強くなる会社とあります。会社に限らず、さまざまな組織も、人もそうです。
>
> それはレジリアンスがあるかないかの違いだと、システム思考では考えてます。
> 何がレジリアンスをつくり出しているかという研究が、システム思考にはありま
> す。
そして、記念すべき(?)2000号で、さらにその重要性と、自分にとっても大事なテーマとして追究していくことを宣言しました。
[enviro-news 2000] しなやかな強さ(レジリアンス)のある社会へ
(2011.07.21)
> 3000号に向けて(?)、これからますます大事になっていくと考えていることにつ
> いて、少し書きたいと思います。
>
> それは「レジリアンス」(resilience)ということです。辞書を引くと「復元力」
> とか「弾力性」などと訳されています。私がで翻訳するときは「しなやかな強さ」
> と訳したりします。「何かあってもまた立ち直れる力」のことです。
レジリエンスってなあに?という方へ。の説明や例など、朝日新聞のジョブラボの連載に書いた原稿がこちらにありますので、よろしければご一読ください。
暮らしを「レジリアンス」の視点で見つめ直す
http://www.es-inc.jp/library/writing/2013/libwri_id003733.html
近年、国連や自治体のレベルの取り組みとして、世界的に「都市やコミュニティのレジリエンス」をしっかり考えよう、町づくりの計画に入れていこう、という動きが広がっています。
そうした動きを応援して、さらに加速すべく、ロックフェラー財団が「世界の100都市のレジリエンスを高める取り組みを支援するプロジェクト」を始めました。1億ドルの資金で進めている「世界中の都市部のレジリエンス向上プロジェクト」の一環だそうです。
http://www.rockefellerfoundation.org/our-work/current-work/100-resilient-cities
このサイトから簡単に紹介しましょう。
~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~
自然災害や人為的な衝撃やストレスが増えているにも関わらず、多くの都市はそういった災害に対応し、持ちこたえ、しなやかに立ち直る準備ができていません。
2050年には人口の75%以上が都市に住む時代。官・民のリーダーたちはレジリエンスを高めたいと思っていても、多くの場合、貧困層や脆弱な人々のニーズに対応できる形で、市全体でレジリエンスを高める戦略を構築したり実施したりするための技術的な専門知識や財政的な資源を持ち合わせていません。
そこで、ロックフェラー財団では、100の都市が21世紀の大きな課題によりよく取り組めるよう、世界中の都市に「100のレジリエンス都市」チャレンジへの参加を呼びかけています。
○8月に応募プロセスを通して都市がノミネートされます。
○選ばれた都市は3年間に3回発表され、決勝戦の優勝都市は2015年に発表されます。
○選ばれた各都市は、以下を得ることになります。
1)「100のレジリエンス都市ネットワーク」のメンバーとなり、サポートを受け、レジリエンスの取り組みの新しい知識や実践を共有することができます。
2)市のレジリエンス戦略構築のための「チーフ・レジリエンス・オフィサー」を雇用するサポートを得ることができます。
3)レジリエンス計画を策定するためのサポート、実施のためのツールやリソースを得ることができます。
さあ、いまこそ、我らが都市が次の100年もチャンスの場でありつづけらえるよう、行動すべき時です。
~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~
このサイトには、ロックフェラー財団がこれまでに出してきた、レジリエンスと都市に関するレポートやガイドブックなども載っています。
日本からの応募もたくさんあるといいな!と願っています。
私も委員を務めていますが、日本の「環境モデル都市」「環境未来都市」の考え方や取り組みにも、この「レジリエンス」をぜひ採り入れていってほしいなと思います。これからますます必要になってくる時代ですし、それを切り口に、地域のつながりや絆、住民の幸せを考えていくこともできるからです。
ロックフェラー財団の支援を受けて、都市のレジリエンスを高められる機会、「我こそは」「まだよくわからないけど、うちの自治体にとっても大事そう」「よいチャンスになるかも」「まずは一緒に勉強してみたい」と思われる自治体があったら、ご連絡下さい。ご興味のある自治体がいくつかあれば、応募の用件やプロセス、都市とレジリエンスについて、一緒に学べる機会を作り、お手伝いできればと思っています。