開催日 | 2016年9月29日(木) |
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対象 | イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま、オブザーバーとしてご参加の企業・団体の皆さま |
ゲスト | 水口 剛 さま |
ファシリテーター | 枝廣 淳子 |
参加人数 | 21社・団体25名 |
今回、社会的責任投資について著名な高崎経済大学教授の水口剛教授をお招きし、「ESG投資の動向~2050年のあるべき市場と経済の姿を考える」についてお話しをうかがいました。ESG投資を単に目の前の収益の手段(企業は単に成績表、投資家は企業を測る手段)として捉えるのではなく、持続可能な社会を実現するためにどうあるべきか、長期的かつ広い視野で考えるためのさまざまなインプットをいただきました。ESG投資の意義や本質的な問いについて考えながら、ディスカッションで深めることができたと思います。今後、それぞれの思いを、それぞれの組織でどうカタチにしていくのか、持ち帰って社内でもぜひ議論を重ねていただきたいと思います。
現状では、まだまだESGに関する投資家の声は経営層や環境・CSR部門に届いていない。投資家との距離も感じている状況。
【ESG投資の意義――資本主義の限界】
現代の資本主義は今、3つの意味で限界に直面している
経済格差の拡大
低金利・ゼロ金利(=利益生まない)→短期視点(投機などの価格変動)での利益追及→長期視点での環境への取り組み欠如→地球環境の破壊増→短期的な金融技術の発展→格差拡大、という悪循環が発生する。
「資本」概念の拡張
現代は財務資本の価値だけが重要視されているが、人的資本・知的資本や安定した自然や社会・関係資本がなければ、そもそも事業活動は継続できない。このように資本の概念を広げて考えると、どの資本も増えれば価値の創造であり、減れば価値の毀損と考えられる(価値概念の拡張)。すべての資本をバランスよく維持するのが新しい資本主義(Responsible capitalism, Sustainable capitalism)のかたちではないか。
新しい資本主義の形
新しい資本主義において評価される企業の基準(例)
<共通運用項目> 除外スクリーン・ダイベストメント・エンゲージメント
ヨーロッパのESG投資では、以下のような、より具体性のあるテーマを明示的に取り上げている。
ヨーロッパのESG投資は、こうした個別の論点を深掘りする時代に入っており、CSRランキングのような全体の平均点が高いだけでは十分とは言えない。
気候変動による環境の激変や、経済格差や移民問題などの社会問題に対する危機感。短期的な視点による投資・経済活動で批判を受けて、金融が社会からの信頼を失う危機感。こうした危機感が、欧州におけるESG投資の背景にある。
(写真後方右から)タカラトミーの会長・社長・役員のみなさんもご参加くださいました
レポーティングの読み手である私たち自身に、しっかりとESGを考えて投資されているのかどうかを判断していく力が必要である。年金や運用機関を見る目を養っていかねばならない。ESG要因をきちんと組み込んで頑張っている企業が適切に評価されるようになることで2050年の幸せで持続可能な社会につながる。「ESG投資は広がったが、環境や社会はちっとも良くならない」ということにならないようにしたい。
2016年9月、環境や社会の問題に関する専門家らが世界中から集まる「バラトン合宿(※)」に、参加してきました。話題になったのは、「移民問題」と「アニマル・ウェルフェア(動物福祉)」です。欧州では、政変や気候変動がきっかけで増え続ける移民をどう受け入れるべきか、移民の住居・仕事・教育など、喫緊に解決したいことではありますが、難しい課題です。
また、欧米の消費者の間では、企業がアニマル・ウェルフェアに関してきちんと対策をしているかどうかを問題視するうごきが盛んになってきています。投資会社では、アニマル・ウェルフェアの対策の進み具合を測って、企業をランク付けしています。そのランキングをもとに、投資会社は企業に、きちんと対策をとるように迫ります。対策を怠れば、消費者や投資家から批判を浴びて、ビジネスが立ち行かなくなることでしょう。
日本ではまだアニマル・ウェルフェアに対する概念があまり広まっていませんが、早晩、対策が必至になります。このように、ESGに重きを置くことが、今後は重要になっていきます。
(※)バラトングループとは(http://www.balatongroup.org/)
『成長の限界』を書いたメドウス夫妻が1982年に始めた、持続可能性に関する課題に向き合うグローバル・ネットワーク。システム思考・システムダイナミクスの専門家を中心に、さまざまな研究者や行政・NGOなど、数百名のメンバーからなるグループ。
水口先生のお話を受けて:印象に残ったこと、学び、気づき、自社に持ち帰りたいこと、さらに聞きたい・知りたいことなど
【Q】日本でESG投資が進まない、危機意識が低い理由は
【Q】ESG評価について
【Q】日本がESG投資で進んでいるところは
タカラトミーさまの歴史・ご活動、今後の方向性などご紹介いただきました。
5.相談タイム
昭和シェル石油株式会社さまより、活動に関するアンケート記入のご希望をいただきました。
水口先生、エダヒロも回答させていただきました。
懇親会のようす
次回は11月10日(木)に開催します。テーマは「企業とNGO/NPOはいかに共創関係を創っていけるのか」。
参加された方の声から
☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか☆
ESG投資の動向最新情報
個人農家として、今回のセミナーは少し場違いかと思っていたが、クラウドファンディングや村へのふるさと納税につなげることができるのではと思った
枝廣教授と水口教授からのお話
所属組織におけるCSRを検討するにあたり、何らかのヒント、指針を得ること
自身の仕事からかけ離れていたESG投資を近づける
ディスカッションから他社さんのご意見
上司の代理ということできましたが、非常に勉強になりました
ESG投資の現状と、今後どうとらえられていくのかを知ること
社内のESGについての関心を高めること。そのための情報を収集すること
ESGの基本的な情報を体系的に理解したかったので、満足です
ESG投資の動向の自社製品販売への応用
ESG投資の日本での今後の動向を知る。ESG投資の評価軸と手法の最新動向を知る
異業種の方との交流
ESGについてのヨーロッパの背景を知る
日本のESG投資の今後について、企業の対応についてのヒント
ESG投資がどのくらい浸透しているのか
☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください☆
背景を学べたこと、他社の取り組みを知れたことが良かった
期待どおりでした
まさに、異業種交流だった。2回目の参加ですが、増々参加し、発言したいと感じた
ワークショップが多いのですが、もっと枝廣教授と水口教授のお話の内容を増やしてほしい(もしくは質疑応答)
ESG投資は、公的機関とはあまり関係のないテーマかと思っていましたが、企業との連携等で視野に入れるべきことであり、また、自社の方針を検討していくうえでもとても有益でした
まだ良く理解できていない。しかし、何らかの形で社へ持ち帰りたい
本音のお話しを水口先生から伺うことができた
チェンジエージェントさんのセミナーに参加させていただいたのですが、とても良い雰囲気であったと思います
参加された方とのワークの時間がとっても多く、いろいろな意見を聞くことができ、大変参考になった
水口先生の講演が、これまで聞いたESGのなかで、最も本質的で、非常に腹落ちした
資本主義の限界から新しい資本主義への橋渡しとしてESGがあると認識
ESGに関する基本的なことを知ることが出来ました。世界と日本の温度差がなぜ生じるのか理解できました
問題が多面的であり、対応の仕方が決まっていないことが知れた
ESG投資には、個別の課題、リスクヘッジが中心との考えがあったが、ユニバーサルオーナーとのあわせた考えが出来た
仕組みがある程度理解できた
短期的に大きく役立つ点はなかったが、長期的な動向が重要というのは、その通りだと思った
話すのが苦手なので、グループワークではやりにくかった
他業界の方々の意見をきくことで、自分の頭が活性化され、まとまっていった
金融の人たちが、financializationによって格差/環境改善を生みだしたと自覚し始めているというところに感動。人間っぽさ
水口先生のお話は、とても分かりやすかったです。企業へのアプロ―チとしては、今後ESGレイティングではなく、企業ごとに個別イシューとなり、それについてエンゲージメントするという形になるということが新しい視点でした
現状はあまりどの会社も進んでいないと感じた。もっと事前に勉強してくるべきだったと反省
☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください☆
ふるさと納税≒ESG投資、先ずはこの意識を内外へ
自社でのCSRの検討に反映させていただきます
社内で関心ある人々と議論の場を持つ
上司に報告するとともに、日本オリジンのESGというのを考えていければと思います
グループCEOにインプットしたいと思います
ESG投資は、まだまだ、さだまったものではないとのお話しでしたので、今後も動向をしっかりと追い、変化をとらえたい
常にマクロ視点で「なぜこの問題が起きているのか」の本質の追求
社内ではまだまだESGに関心が低いと思われるので、今回得られた情報を社内に展開していきたいと考えます
環境評価における時間の考え方
環境保全活動がまわるしくみをつくりたい
自社の活動に反映させたい
ESG投資の評価手法
長期的にみれば合理的なこと、という軸はつかえると思った
統合報告について
出来ることから考えたい。長期戦略に組み込めることを考えたい