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第42回 企業とNGO/NPOはいかに共創関係を創っていけるのか

2016月10月14日 更新
開催終了レポート
 
開催日 2016年11月10日(木)
対象

イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま、/ジャパン・フォー・サステナビリティ 法人会員さま、オブザーバーとしてご参加の企業・団体の皆さま

(共催/NGO ジャパン・フォー・サステナビリティ)

ゲスト

川北 秀人さま
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]

ファシリテーター

枝廣 淳子

参加人数

企業(団体)パートナーさま:14社 21名、学生:4名

開催レポート

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前半では実際に協働・共創活動に取り組んでいる企業や団体からの発表と、後半は企業とNGO/NPO、行政をはじめとした異なるセクターとの協働の基盤づくりを広く実践されている、IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表の川北秀人さまをお招きして、日本と世界の2020年代を俯瞰した上で、企業とNGO/NPOが共創関係を創っていく意味や意義ついて、また、持続可能性を高めるために「攻め」と「守り」で着実に進化し続けている企業事例など、たっぷりと語っていただきました。


 

1.<問題意識や課題の共有> グループディスカッション

自分が所属する部門はNGO/NPOとの共創・協働は現在どういう立ち位置にいるのか。今日持ち帰りたいものは何か。

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一例)

  • 企業とNPO/NGOどうやって良い出会いができるか
  • NPO/NGOが支援企業に求めるものは何か
  • 一市民はどう関与できるのか   ほか

1.企業・団体からの発表

各社・団体から、活動内容・経緯・効果・課題などをお話しいただきました(7分間)

  • HSBCグループ(大畑さま)
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    ご希望により、ご発表内容は控えさせていただきますが、別途インタビューさせていただきました内容と重なるところも多いため、下記よりご覧ください。

#01 NPO伊那里イーラ ✕ 英国系金融機関HSBCグループ
~年2回の里山保全活動、収穫は社員食堂のメニューにも(長野県飯島町・中川村)~

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8年前に民間から長野県伊那里地域を元気にしていきたい、という思いで立ち上げたNPO。地域の魅力を発掘し、商品化していくネットワーク、ジャパンオンパクと連携して、200の交流体験プログラムを作り、活動をはじめました。ただ、地域の大きな課題「人の流出」を何とかしたいという強い思いがありました。一方で、都市企業にも抱える課題があるのではと思い、都市と農村、お互いが持っている良きものを融合させながら、課題をともに解決できればと、3年前に実際に農村と都市企業との連携をスタートしました。そして、イーズ未来共創フォーラム 異業種勉強会に参加し、紹介により、HSBCグループさまとつながることができ、さまざまな交流体験が2年前から始まりました。

<企業との共創>

【HSBCグループとの活動】

年2回100名以上の社員とその家族が里山保全、田舎体験で伊那里地域に来て、活動されています。また、昨年からはHSBCグループさまが以前からサポートしている大阪の児童養護施設のこどもたちに伊那里に来てもらい、自然に触れ、地域交流体験をしてもらいました。こどもたちには、第二のふるさとと思ってもらうような場所にしていけたらと思っています。 

【人からモノの交流へ-次のステージ】

田植えをし、収穫し、食べる、という食・農を中心としたプロジェクトにより、循環を経験することができています。また、交流も広がり、回を重ねるごとに関係性が深まっています。人の交流ができてきたので、今度は、東京のHSBCさまの社屋で里山マルシェ、社員食堂でおにぎりやスムージーの販売をする、モノの交流という次の段階にはいってきました。

【高校生英語キャンプ】

今年初のプログラム。世界の高校生が集まり、全編英語で進行、地域の経営者をインタビュー訪問し、魅力を聞き出し、それを元に商品開発し、実際にネット販売をするところまで体験してもらいました。

 【効果】

交流体験プログラムをおこなうたびにフィードバックが貯まっていくので、プログラムの質の向上につながっています。さらに、関わる地域の人びとのやる気・情熱・地域愛にも良い影響がでてきています。また、伊那里イーラでは、こうした事例を蓄積して、さらなる提案にいかす機会も増えてきました。こうした活動から、伊那里イーラの「組織力」もあがり、行政に対しても存在感を示すことができるようになってきました。今後もさらに人とモノを循環をさせ、まちづくりビジネス(事業)につなげていきたいと思っています。

2002年から活動開始。社会を持続可能にしていくために、日本の環境・サステナビリティに関する情報を世界185カ国約7500名に発信するNGO(代表:枝廣淳子)。機械翻訳では難しいとされる、日本語独特な言い回しを、英語を母国語とする人びとにも自然に伝わる内容で発信しています。高い信頼から、読者には著名なサステナビリティ有識者・研究者も多く、こうした他にはない世界のネットワーク力に魅力を感じていただき、企業が海外発信を希望される際に活用いただいています。

<企業との共創>

○特設ページを使った海外発信

1)ワタリスさま:宮城県亘理町

WATALIS(ワタリス)さまは、箪笥に眠る古い着物地をリメイクし、再び世に送り出す「アップサイクル」に取り組むブランドです。日本の伝承文化ともいえる事業活動とともに、東日本大震災からどのように被災地が復興してきたのかについて、世界に伝えていきたいと希望され、特設ページを作成し、世界に発信のお手伝いをしました。

 2)富士通総研さま:環境未来都市(内閣府)

日本で環境先進都市として認定されている地域について、一般の方にも読みやすいよう、日英のページをJFSサイト内に用意しました。海外からの環境未来都市全般の関心も高く、問い合わせも増えています。


2.<講演>
日本と世界の2020年代を俯瞰した上で、企業とNGO/NPOは、なぜ、どのように共創関係を生み出し、生かしていくか?- 社会責任は、社会のためでなく、自社のためにこそ、果たす意義がある-

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川北 秀人さま([人と組織と地球のための国際研究所]代表

【活動について】

IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]は「地球上のすべての生命にとって、民主的で調和的な発展のために」を組織目的としているNPO。課題・理想に挑むNPOや事業家などの支援を年100件余り行っているが、最近はニーズの変化を感じている。

当初は環境・教育・福祉などテーマ型の団体のお手伝いが多かったが、2010年以降は、自治会・町内会の連合会など地域づくりに取り組む団体からのお招きが、年間のご依頼の半数を占めるようになってきた。その背景には、子どものための祭りなど行事中心から、高齢者の見守りや子育て支援などへと、地域づくりが事業中心へと進化していることがあると考える。NGO/NPOも同様の経緯を経てきた。単発型の行事・イベント型から、継続的な事業・サービス型へと活動の進め方が変わり、組織の拡充が求められてきた。

企業においても、社会における基本的な責任としてのCSRを経営の根幹と位置付け、「持続可能な社会をめざし、社会課題を解決するために事業に挑む」と謳う企業が増えている。ならば、課題に挑む専門家であるNGO/SE(社会起業家)との協働・共創をしないという選択はないはずだ。

実際に企業がNPOをはじめとする、異なるセクターとともに対話を重ね、課題の解決を実践した好事例をご紹介する。

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例)資生堂

企業・NPO対話:化粧品の成分の動物実験廃止を目指す円卓会議(2010年~2014年)

 【世の中のながれ-2020年を考える】
○日本企業の未来価値=世界・日本市場での位置。では、2020年の世界・日本は?

○既存のインフラとハコモノの更新も、今後さらに深刻な問題に

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【日本企業が世界市場で存在感を維持し高めるために】

○高齢化は第2幕へ(地域活動人材増→要支援者増)

○日本の高齢者・後期高齢者のくらしは?

○具体的な手を打つには、

受動的な(与えられた)義務・責任ではなく、
主体的な(自ら挑む)チャレンジ・価値としての
自社と世界のサステナビリティを実現する

【「社会からの期待」に応える約束を誠実に履行できるか?】

法的責任から社会(的)責任へ特に日本では、法令は止まったままだが、社会は動き続けている。法律を守るだけでは、事業も企業も成長できない。ICTの進展を受けて、社会の関心の広がり・深まりは、そのまま期待につながっている。つまり、企業は法律を超えた取り組みにチャレンジしなければ、事業や組織の持続可能な成長は実現できない。

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【社会貢献活動の大きなシフト】

(慈善的な配分から、戦略的な投資と協働へ)
社会貢献はまだまだ施しの位置付け。しかし今後は、NGO/NPOを、企業が将来価値を生むために必要な実験や商品開発をともに行っていくパートナーとしてみてほしい。

<協働事例>

■社会貢献プログラム
マイクロソフト:高齢者・障害者向けの支援プログラム「Unlimited Potential(UP)」
~IT活用支援を通して、高齢者・障害者の方の自立支援・人材育成などを推進~ 2003 年 11 月 18 日 (プレスリリースより)

最後に

NGO/NPOは、目先の利益ではなく、より広い視野でなぜ課題が起きているのか、また長期的に市場や社会に将来どのような影響があるかを考えている活動している。より長いスパンで課題を解決するソリューションを考えて実践するのがNGO/NPOの役割だ。

企業が持続可能性を高めるためは、継続・維持ではなく、進化しかない。その実現に必要な取り組みのひとつとして、NGO/NPOとの協働・共創はなくてはならないことが、ご理解いただけたと思う。

3.枝廣からのインプット

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NGO/NPOと協働・共創するメリットやポイント

1.世界の最新の動向・情報入手が早い

2.異なる視点で物事をみることができる(ダイバーシティ)

3.長い時間軸の視点

4.対等な立場、育てる(サポートを)

5.社内の意識が変わる

6.NGO/NPOとの出会い方

4.グループディスカッション

川北さまのお話を受けて――印象に残ったこと、学び、気づき、自社に持ち帰りたいこと、さらに聞きたい・知りたいことなどについてグループディスカッションしました。

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感想)

  • グループでは、どんなNPOとつきあっているのかの情報交換をした。社内でどう理解を得ていっているのか。うまくいった事例など。イベント型→事業型に成長させていくことについて、ヒントを多く得た。
  • 日本では外圧が必要なのではないか。NGO/NPOがパートナーとして大事なことがわかったのはよかった。

<質疑応答>

Q.自社としては一生懸命環境・CSR対応をしているが、NGO/NPOや当事者から理解が得られない場合は?

Q.日本のNGO/NPOが社会の課題パートナーとして自分たち自身がどう成長していくべきか。?

Q.NGO/NPOの方は企業をどうみている?性善説か性悪説か。

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<川北さまよりお知らせ>

~チャンス・フォー・チルドレンへの寄付のお願い~

東日本大震災で被災され、いまだ仕事に戻れない方々が今もたくさんいらっしゃいます。そういったご家族の子どもたちの多くは、残念ながら進学や部活を諦めざるをえない状況です。わたしたちはこれを何とか食い止めたいと考えています。

復興支援を5-6年のスパンで考えるのではなく、30-40年の期間で考えるには、東北に生まれ育った子どもたちに自分たち自身で、この町を、この東北を何とかできるよう確信してもらうことです。そして、その確信を得るには、この町で中学/高校に育った、という原体験をしてもらうこと。それには、その時代にどれだけ地域の大人たち(部活・塾)と多くの時間を過ごせているかが非常に重要です。そこで、チャンス・フォー・チルドレンでは、経済的困難を抱える子どもたちに対して、塾や習い事、体験活動等で利用できる学校外教育バウチャー(CFCクーポン)を提供する活動をはじめました。未来を担う子どもたちの教育機会を保障し、成長を支えることこそが、長期的な被災地の復興につながると考えています。ぜひご支援を賜りますようお願い申し上げます。

○ 詳細はこちら
 
関連記事:枝廣の環境メールニュース「「教育クーポン」というクリスマスプレゼントを贈りませんか?」(2016年12月09日)

 

 <事務局よりお知らせ>

次回は1月19日(木)を予定しています(内容未定)。ぜひ、奮ってのご参加、お待ちしております!

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懇親会のようす

参加された方の声から

☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか☆

NGO/NPOと企業の協力の可能性について知る。

交流、プレゼンテーション、発表

NGOと組むことの必要性、よい出会い方

川北さんが今の企業、NGO、社会情勢をどのように分析しているか知りたかった。企業のみなさんのNGO/NPOに対するスタンスを知りたかった。

恥ずかしいのですが、NGO/NPOそのものを理解できていない自覚がありましたので、まずはどういったものかを知る機会となればと思って来ました。

違った視点、最新の公担っていない情報(知られていない情報)。

NGO/NPO側のモノの見方。

NGO/NPOとの関係構築のやり方。

NGOという「未知」の存在とどう向き合っていけばよいか。

自社のお客様への提案等で参考になることがあればと考えていました。

他団体との情報共有、川北先生のお話。

NGOとの関係づくりについてのアドバイス。

よいNPOの見極め方。

川北先生のお話を聞くこと(長期的、企業にはない視点の内容)。

ソーシャルビジネスの組み立て方(NGO/NPO+企業)について知見を得る。

☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください。☆

社会の課題にともに取り組むという地平においては、NGO/NPOと企業がパートナーになりうるという可能性をさまざまな次元で、これでもかというくらい聞けた。②自分が帰ったらできることが明確。③川北さんの本物さがステキ。

参加者、事務局のみなさまと交流できたこと。

取り組むことで利益だけでなく、リスク回避にもつながるなど、よい勉強になりました。

かなり実践的な話を聞くことができて非常に満足。実例も多く知ることができてよかった。

一見どのように関わったらよいかわからない両者の関係のあるべき姿を提示してもらい、腑に落ちた。

いろいろと行きづまっていた考えにヒントをいただけました。具体的にすぐに解決できるのかわかりませんが、自分の考えが広がりました。ディスカッションの時間がこまぎれに短かったので、もっとお話を聞きたいと思う部分はありました。

期待以上に考えさせられる内容で、参加してよかったです。

やはりデータが大事で、説明に説得力がある。

グループワークがうまくいかない。メンバーによってかなり差が出る。

企業事例紹介も非常に学びが多かったし、また川北さんのお話はたいへん勉強になりました。ボリュームが多く、また整理してインプットし直そうと思います。

勉強になりました。そもそも自社の事業とも、どうNGO/NPOと共創していくことができるか考えるきっかけになりました。

もう少しディスカッションの時間があってもよかった。でも、先生の話をたくさん聞けてよかったです。

川北先生のお話は面白かったです。過去の償いができるまでとのことでしたが、何年間、どの程度まで必要なのでしょうか? 当社は現在、熱帯雨林100万ヘクタールの再生プロジェクト、地域コミュニティの福祉向上プロジェクトを立ち上げています。

アドバイスをいただき、たいへん参考になりました。

各論的なこと、国内の事例をもう少し深めていただけるとよかったが、書籍を見て勉強します。

お忙しいこととは思いますが、川北先生からのプレゼンコーナーの時間を長めにとっていただきたかった。

今後のビジネスを行ううえで、とても参考になるヒントをいくつかいただけました。

☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください☆

①自分のグループにシェアする。②年次報告を読む―参考にして自分たちもやってみる?

今回学んだことを入社する会社に活かしたい。

川北さんの報告書を自らの団体に導入する。企業へのアプローチを今日学んだことに沿って立案してみたい。

今後、いろいろな提案に活用したいですが、まだまだ知識が足りないので、NGO/NPOがどういった活動をしているのか学ぶべきだと思いました。

自分なりに研究し、課題をとらえ、先を見た提案ができるようになりたいと思います。

会社で活用したい。

今後のインフラ整備の方針。

レポートにまとめ、担当役員以下のCSR関係メンバーに情報共有、報告しています。

まずは来週の会社のグループ会にてシェアします。

取り組むべき課題を明らかにし、そのうえでNGO/NPOとのパートナーシップを考えたい。

自ら動いてみること、NGOに飛び込んでみることをやってみたい。

現在、取り組んでいる中期経営計画(環境)の内容に活かしたいと思います。

企業的視点、NGO/NPO視点からのファイナンスについて学んでみたい。

次回のイベント・フォーラムの予定

次回は来年1月19日(木)に開催を予定しております。

 

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