開催日 | 2017年1月19日(木) |
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対象 | イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま |
ゲスト | |
ファシリテーター | 枝廣 淳子 |
参加人数 | 25社34名 |
2016年は世界で、そして日本でも、さまざまなことが起きた年でした。世界では、ブレクジットやアメリカでのトランプ政権の誕生、持続可能性の分野でいえば、パリ協定の早期発効です。日本でも、気候変動の影響が各所に出始めているように思われます。働き方改革と政府は旗を振りますが、社会の格差や貧困は悪化しています。エネルギー政策やカジノに頼ってまで成長を続けようとする経済政策など、本来あるべき経済や社会の姿に近づいているのでしょうか。
こうした世界と日本の情勢を背景に、2017年、企業や組織は、何をどのように考え、何を優先して、だれと共創しながら、持続可能な経営を実現していけばよいのか。
今回のフォーラムでは、新たに注目や対応が求められる動向とともに、私自身がさまざまな時間軸でどのようなアンテナを張って時代の動きを見ているかなどを解説しました。そしてグループワークでは、未来から自社に起こる変化を想定し、自社としてどのような思考で取り組みを進めるべきかーー各社旗を立てて、発表いただきました。
今回のタイトルについてよく考えてみると、"サバイバル"ではなかったと......サバイバルはしないといけないけれども、大事なのは「フローリッシュ(flourish)」ではないかと。「フローリッシュ」という英語には、「繁栄する」「元気にどんどん育っていく」という意味合いがあります。
困難を乗り越ええて生き残ること(サバイバル)も大切ですが、生き残ったあとにどうやって自分たち(企業・地域・社会・個人として)が、いきいきと発展していけるほうが大事ではないかと考え直しました。サバイバルを越えてフローリッシュを目指すことを考え、皆さんと考えていけたらと思います。
枝廣のメルマガ「Enviro-news」の読者に向けて2017年年始に行ったアンケートの回答と、参加者のみなさんの回答を比較しつつ、認識の確認をしました。
アンケートとフォーラム参加者のみなさんとの回答を比較すると、持続可能性への取り組みについて一般の人よりも何らか携わっていることもあり、「少し良くなった」と「変わらない」という回答が目立っていたのが特徴的でした。
「悪くなった」という点では「学校の中で環境教育をして欲しいというニーズが減っている。自治体での環境への取り組みがトーンダウンしている」という意見も出ました。
最後の「自社の持続可能性への取り組み」についてさらに掘り下げるため、4つのステップで振り返り、グループで共有しました。
1.できたこと、進んだこと
2.新たにできたこと
3.課題は認識しつつ、手が打てなかったこと
4.台頭しつつある動きを感じたが、十分調査・分析など取り組みができなかったこと
その後、テーブルツアー方式で、どういった意見がでたかを説明・確認しました。
さらに各社に分かれ、2016年の振り返りをもとに、自分たちなりの2017年の展望(どんな変化の潮流の中にいそうか)を考えました。そして、どんな旗を立てるのかの視点も入れ、それぞれ1分間の持ち時間で発表しました。
異業種・分野25社/団体からの発表は、意外にも方向性が重なっていたり、新たな視点があったりと、自社の展望をさらに深めるためのヒントやポイントが多くあったようです。全体共有の時間は、集合知を活かすトレーニングになっています。
4.枝廣からのインプット:2017年を展望するために
5.<水面の流れ>2017年"サステナビリティ・カレンダー"
【東京五輪組織委員会】
「持続可能な調達コード」「農畜水産物の調達基準」発表(3月)、2020年大会のCO2削減目標など示す(12月)
【パリ協定】
CO2をゼロに。世界は「低炭素」の時代は終わり、「脱炭素」の時代へ(石炭関連企業の株価の急落、ダイベストメントキャンペーン、再エネへの投資・開発・企業の動き、炭素税やクレジットの仕組みなど)。一方、日本では石炭火力発電所を47基新設予定となっている。
【ESG投資】
ヨーロッパで最も進み、世界の投資の3割がすでにESG投資。日本でのESG投資は1%未満に過ぎない(今年から大きくうごくとも言われている)。
【サーキュラーエコノミー(循環型経済)】
再利用が前提の経済。企画・作成の段階から、資源・材料について捨てる概念がない。EUではビジネス化に向けて大きな動きがでてきている。
【中国のグリーンファイナンス(環境金融)】
2016年9月:G20で杭州サミット首脳声明にグリーンファイナンス推進の文言が盛り込まれ、グリーンファイナンススタディグループを主導するなど、積極的に民間・市場への働きかけを行う中国。今や再エネ大国でもある中国の動向に目が離せない。
参考)ガス・エネルギー新聞 枝廣執筆(2015年8月31日掲載分)
参考)サステナブル・ジャパンより関連記事 (2016年9月23日掲載記事)
「聖牛」のポイントは通常の増水時には水の勢いを制するために役立つが、異常な増水時には自壊するようになっている。
(「聖牛」について-参考:過去に学ぶ~甲府盆地の治水システム(JFSニュースレターより) )
これを企業に当てはめて考えてみると、中期・長期の流れを考えてどこに竿を刺し、どういう構造物をつくっておくのか。将来のいざというときに役立つモノをつくっているかどうか、自社に当てはめて考えてみる。
指標その1:【プラネタリーバウンダリーズ(Planetary Boundaries)】
地球は様々なものが影響しあっているシステムであり、安全にそのシステムが働くためにはどうしたらよいのか。安全と危険の境界線(バウンダリー)がどこにあるのかを科学者はずっと研究していて、それを「見える化」しようと試みたのが「プラネタリー・バウンダリーズ」。
○参考:地球の境界線(プラネタリー・バウンダリーズ)(2009年)
○参考:地球の境界(プラネタリー・バウンダリーズ)2.0(2015年)
指標1のプラネタリー・バウンダリーズとともに持続可能性、特に社会面などを含めて考えるとき出てくるフレームワーク。項目は11。
外側の地球としての境界(プラネタリー・バンダリーズ)を見つつ、内側である社会的な面の項目もきちんと営みができているかを計る指標。
(出典)https://www.kateraworth.com/doughnut/
<底流>【エダヒロのアンテナ(2)】
8.『新しいレジームでの5つの企業経営ルール』
いつもの勉強会では環境・CSRに関するピンポイントな内容をテーマに取り上げていますが、今回は私がアンテナを立てているもの、将来起こるであろう世界のことやそのために考えるべき大事なことなど、たくさんお話しをさせていただきました。そして、ワークでは、自社の活動について過去を振り返りつつ未来を展望し、異業種で集まった集合知を活かすための共有の時間も持ちました。皆さんの中には「もやもや」や「問い」が多くでた方もいるでしょう。よい勉強会というのは、答えよりも「問い」が増えることだと思っています。その「問い」を持ち帰り、社内でもぜひ引き続き考え・深め、"フローリッシュ"につなげていっていただけたらうれしいです。
開催後、来年もこうした話をぜひ!とのうれしいリクエストをいただきましたので、毎年の定例とさせていただけたら、と思っています!
<参考>
○広島県三原市議会議員の安藤志保さまのブログ:当日のようすをご紹介いただきました。
○エダヒロの共創日記:第43回異業種勉強会を開催しました(2016年1月23日)
<事務局よりお知らせ>
次回は3月15日(水)を予定しています。ぜひ、奮ってのご参加、お待ちしております!
懇親会のようす
次回は3月15日(水)開催を予定しています。テーマは「人権」を予定しています。
参加された方の声から
☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか(抜粋)☆
2017年、今後の長期視点でのポイント、とらえ方
2017年の動向について、新たな洞察を得る事
別業界の方々の考えをきき、自分の業界が進むべき方向性、その中で自社が何をすべきかを確認したかった
SDGsや環境問題についての現状など知識を深めたかった
知見を広めることとネットワークの拡大
枝廣さんのお話をじっくり聞けることを楽しみにきました
「何を考慮していくべきか」つかむこと
日本の企業の方々のサステナビリティに関する問題意識がどのようなものなのか、取り組みの焦点がどこなのかを知りたかった。
枝廣さんから、環境関係の最新動向や指針を聞けると楽しみにして来ました。
環境配慮における現状と新たな考え
ちょっと中期目線の考えをする機会
課題/問題とされているポイントは何かを学びたく参加しました。
2017年、世界情勢は不安がいっぱい。その中での活動の軸みたいなものを見出せればと。
中期視点での見逃してはいけないポイントや世界の動向
現在のCSR分野で押さえておくべきキーワード、世界情勢、国内情勢など
2017年に自社は何をしていくべきか、考えるきっかけをつくる。
注目するキーワードを発見する
違った視点での見方を知る
各社の方が抱えている問題点や、その解決方法など
2017年をどうとらえるかという足がかり
異業種企業での取り組み方
全体感をつかむ
☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください(抜粋)☆
良かったです。今日のディスカッションも良かったと思います。(テーマ、方法両方)
枝廣さんが見ている事を聞けたことが良かったです。
世の中の大きな流れについて、知り、考えるよい機会になりました。異業種の方々と直接お話しする中で、気づいてなかった視点にふれることができました。ありがとうございました。
枝廣先生の講演の内容が濃く、時間が足りないほどでした。
日本は本当に立ち遅れているんだなぁとびっくりしました。
考える機会になったこと、知らない世界の動きを知れたことが良かった、もう少し深堀りしたいところも残った。
とても元気が出ました。自分では得られない情報や考え方、大切な視点をたくさん頂けました。1年のスタートにとてもありがたい機会となりました。
見ていなかったこと、考えていなかったことが分かりました。それらも踏まえて、やるべきことを決めていきたいと思います。オリンピックの話で枝廣さんが「戦った」と言われたのを聞いて、私も頑張らねば!と思いました。
多くの企業の方の2016年の進捗や課題を聞くことができて、理解したかったことの1部が分かって良かった。また、枝廣さんのマクロのお話しも新しい情報があり、updateできて良かった。
2017年の動向や、各社のおかれている潮流がわかり、良かった。
①前半はW/Sで(2)されるか不安でしたが、他社さんの取り組み悩みが聞けてとても良かった②後半は(2)の期待が満たされるどころか、上回りアップアップ、しかし課題・疑問・質問が豊なのが良いということなので、マッイイカ。
まだまだ勉強と情報収集したが足りない。説明する際、いかに近道、上辺の要求だけですましてきたかを痛感した。
多くの内容にもかかわらず、理解できた。
何が課題/問題なのか社外や社内でも共有し、キーとなるポイントを追っていくことが重要だと思えたので、参加出来て良かったです。もう少し勉強したいと思えました。
様々な企業・組織の多様な課題・取り組みが参考になりました。
水流の中ほど、底流のエダヒロのアンテナは非常に参考になりました。社長室という中長期的な視点の職務に役立てたいと思います。
AI、IoT、3Dプリンティングの持続可能性へのインパクト、全く想定していなかった(自身がイメージできていなかった)キーワードで目からうろこという感じでした。
Planetary Boundaries や聖牛の例えなどとても学びが多かったです。
各社が注目している変化・潮流を共有して頂けたこと。
(良かった点)人権・調達などを課題と感じている企業が他にもあり、共感を持つことができた。(良くなかった点)時間がオーバーしたこと(欲張り過ぎてしまったのかもしれませんね、話は面白かったのですが…)
いろいろと押さえなければならないポイントを確認することができた。その中で重点テーマをいくつかピックアップすることが出来た。
内容が濃すぎて時間が足りないと感じた。1日かけてじっくり話を聞きたかった。
(良かった点)世界の潮流というものを知ることができ、今後、取り組まなければいけないことのきっかけとなった。さまざまな視点から(短・中・長期、内・外)とらえる考え方を示唆していただいた。
各組織の1分説明については、プレゼンテーマをもっと絞ったほうが良いと思う。
全体感をつかめました。ただちょっと疲れました。
☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください(抜粋)☆
今日のキーワードをもっと勉強したいと思います。
自社のメンバーに共有し、(2)の内容についてディスカッションしたいと思います。
これは政府のせいにしていてはいけないと思いました。私達個人単位からでも、勉強会等を開き、現状把握や世界の動向等を知る機会を作りたいと思います。
Planetary Boundaries に関しては、もう少し深堀りしたい。
一年間。次から次へとやるべきことが今年も出てくると思います。川の流れのどの位置にいるのか、どんな川の流れの中に自分がいるのかを考えぬいてみます。
あらためて、システムで考えること、シナリオプランニングというツールの大切さが分かりましたので、改めて、自分として活用してみようと思いました。
気づきや調べたいことがたくさんできました。①対話のネタ、②取材の勉強 広い情報収集と英語力まずは、人に話せるよう見直します。
何らかの形で社内で情報の共有をはかっていきたいと思いました。
新しい言葉の概念を咀嚼します。
若手社員の教育について→たぶんチェンジ・エージェントに相談します。
貴重な講演をいただき、ありがとうございました。自社・自部署の中長期計画の策定に反映させていきたいと思います。
アンテナにあげた項目の多くが、まだ自社では何もやっていないことだったので、これから自分も積極的に情報をとっていきたい。
聖牛のように、なくならず、そっと存続できて、後々意味をなす仕掛けを考えていきたいです。
3月人権テーマを楽しみにしています。
先に進んでいる企業の事例は参考になった。先進企業は何を気にしているのか、CSRレポートには載らない部分も聞くことができたので帰社後部内でシェアしていきたい。
考え方の視点、時間軸や国内外の視点で分けて考えて、整理し、着手の順番や程度の濃淡をつけてみたい。
我慢強く取り組む。
自分の業務に照らし整理します。
社内への水平展開(トップを含め)
2017年に予定されている政策やオリンピック関係の動きが分かったことが、短期的、実務的には、とても役立ちます。
学んだことを3つ自分の言葉で社内に伝える。