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第53回 2019年・年初に考える~これからの時代をどう生き抜くのか(2019年1月25日(金)開催)

2018月12月20日 更新
開催終了レポート
 
開催日 2019年1月25日(金)
対象

イーズ未来共創フォーラム 企業・団体パートナーさま

ゲスト
ファシリテーター

枝廣 淳子

参加人数

開催レポート

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毎年恒例の年初の回は、「2019 年を展望する」をテーマに考えました。

昨年の「年初の展望」では誰も予想していなかった「海洋プラスチック問題」が6月以降、大きく注目された年でした。また、自然災害の多い年でもあり、気候変動の影響を多くの人が身をもって感じた年ではなかったでしょうか。

政府や地域や企業など、さまざまなかたちでお手伝いをさせていただいている側から見ると、2018 年は、「日本が遅まきながら、ゆっくりながら、ようやく正しい方向に進み始めた年」でもあったと私は考えています。
ただ、どの立場においてもこれからは、「未来を予測しない前提」で手を打っていかなければなりません。何をどのように考え、何を優先して、どのような共創を進めながら、持続可能な社会を実現していけばよいのでしょうか。

今後も「海洋プラスチック」のような想定外の問題は増え、さらに複雑さを増していくことになるしょう。
今日は皆さんが取り組んできた活動からも学びを得て、正しい方向に進み始めたうごきを少しずつでも加速化していきたいと思います。


1. 2018年について振り返る

  1. できたこと、進んだことは何か
  2. 新たに出てきた課題は何か
  3. 課題は認識しつつ、手が打てなかったことは何か
  4. 台頭しつつある動きを感じたが、十分調査・分析など取り組みができなかったことは何か

個人ワークをしたあとに、グループワークをし、全体共有をしました。海洋プラスチック問題、SDGs、ESG投資、脅威、エネルギー、ソーシャルなどがあがりました。

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 2.講演「2019年を展望する」枝廣淳子

1.「持続可能性に関わるアンケート」解説(環境メールニュース読者から、129名回答)

  • 地球環境

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前年度より悪化している、と感じている人が増えた(2018年64%、2017年48%)

→ 日本各地で温暖化の影響が顕在化したことが一番の影響だろう

2)日本持続可能性への取り組み

約5割が悲観的な回答。

良くなったと思う点:SDGsの企業の取り組み、民間・一般の人の意識の高まりなど。

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3)2018年の「持続可能性に関わる10大ニュース」

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2位 プラスチック問題(海洋汚染、使用禁止の動向など)58人

昨年の年初は、「プラスチック問題」は出ていなかったが、あっという間に大きな問題になった。今年も今の段階で、ここに挙がっていない問題が来年出ている可能性がある。それは、人びとが有限の地球の上で、無限の反映を求める限り、環境問題を作り出す原動力はますます強まるからだ。
「プラスチック問題」のように、突如出てきた(と思われる)問題が出てくる度にし、バンドエイドを貼るような対処療法でよいのだろうか。根本的な解決につなげていくことを考えなければならない。
そして、まだ見えていない課題に対しても、私たちはどのようにアンテナを立て、対応をしていけばよいのだろうか、のちほど話す、「学習曲線」のところがヒントになるだろう。


6位 再エネへのシフト(RE100など)15人
昨年、「再エネの主力電源化」が決まったが、今後どのように進めるのか。そして、再エネのFITの見直しや、自然破壊(バイオマス発電用に森林伐採の問題)が出てくるだろう。

5)(エダヒロの視点)2018年はどのようなとして歴史に残るか?
→日本が遅まきながら、ゆっくりながら、ようやく正しい方向へ進みはじめた年
<正しい方向に向かっていると感じた理由>
エネルギー政策(エネルギー情勢懇談会(2017年8月~2018年4月))
1)エネルギー基本計画骨子案に「未来は予測できないもの」という言葉を入れたこと

2)地域のエネルギー、分散化を国としても応援していく仕組みが打ち出された

3)企業の動き

6)「学習曲線が加速してきた」

「温暖化」という言葉が出てきた頃は、社内に理解を得て、一般的な言葉となり、次の行動につなげるためには相当時間がかかっていた。しかし、今回の企業のプラスチックへの理解や動きは非常に早く、学習曲線があがってきていると感じている。組織の体制・運営方法がキーになる。

<グループワーク>

  • 自社はどうか?この一年、改善があったか?
  • 2019年注目・注力テーマ

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<枝廣のコメント>

  • ある企業様:経営層がスウェーデン視察に行ったことに対して:

「ラーニング・ジャーニー」のよき例である。「ラーニング・ジャーニー」とは、複雑なシステムを観察しながら、自らの内面を鍛える上で、しばしば取られるリーダーシップ開発の方法論。グループで関心あるテーマの現場やそこにいる人たちを訪ね、現場の様子や話を見聞きし、そしてグループで自分の感じたことを話し合うプロセスのこと。ジャーニーといっても、新しい土地に行くことではなく、自らの視点に気づくこと。今回も経営層でスウェーデンで同じものを見ても、多様な人たちの多様な視点や解釈にふれ、それぞれがもつ前提、信念、価値観、そして心の奥にあるビジョンを振り返り、探求する機会になったと思う。

昨年委員として参加していた「エネルギー情勢懇談会」も同じ。この場合は、参加していたメンバーや事務局がどこか視察に行くのではなく、さまざまな専門家を招き、新たな視点からの学びを得て、議論を深めていくことができたと思う。

  • 企業事例紹介(DSM)

オランダに本社を置き、世界55カ国で活動を展開。Euronext Amsterdamに上場しており、社員数2万3000人、年間売上1兆円のグローバルカンパニー。元は石炭公社だったが、現在は高機能プラスチックなどを取り扱う製造業。https://www.dsm.com/countrysites/japan/ja_JP/home.html
10年前に本部の社長が交代し、SDGsに取り組み始める。例えば、どの部署も自分たちの事業がSDGsとの位置づけを証明できないと、事業自体を撤退させられる。また、経営陣のストックオプションがダウジョーンズのサステナビリティ・インデックスやGHG(温室効果ガス)の 効率改善などの環境指標に連動させ、効果をあげている。

  •  トップが動かない場合について

・社長や経営層が集まる場や会合(業界団体・経団連・経済同友会など)や意識が高い経営者との交流
・次世代・次々世代の社長への教育
・欧州の投資家の声などの伝える

  • 先進企業:リコーさま:社員向け「SDGs講演会」開催

枝廣の登壇テーマ
「SDGsに貢献しない事業は淘汰される~社会課題解決と事業の両立、企業の絶対的命題に~」の内容で、山下社長、リクルートキャリア元社長の水谷さまとともに登壇、約2000名もの社員の方が視聴し、質疑応答の時間では活発な意見交換も行われた。私からはSDGsについて、広がる背景や内容説明とともに社員一人一人が自分や自社の仕事結びつけて考えてもらうようなワークを行った。
<参考>リコー「SDGs講演会」に登壇させていただきました

  • SDGsは「規定演技」ではなく、「自由演技」

日本企業は環境や有害物質規制など、ルールを守る「規定演技」は得意。しかし、「自由演技」は苦手。自社はSDGsをどう理解し、行動していくのか、自ら考え発信・行動をしていかなければならない。自社の強みを発揮できるチャンスでもある。

7)エダヒロの注目・注力テーマ

  • 気候変動
  • プラスチック問題
  • 地域の二極化
  • ソーシャルインパクトのつくりかたと測定

企業のプラスチック問題への取り組み事例~パートナーさま

・直接プラスチックを取り扱っていない企業:HSBCグループ、ジャパン・リニューアブル・エナジー

社内で使われている使い捨てプラスチック製品の削減や社員への働きかけ

・事業でプラスチックを使っている企業:東京ガス、タカラトミー、富士通
使用量の削減やリサイクルする取り組みとともに、再生材を原材料として用いることで、リサイクル市場の形成を後押しする

・ 現在プラスチック容器を生産している企業:東洋製缶

軽量化や再生材などを利用した製品開発・販売を行う。ゆくゆくはプラスチック以外の素材による容器開発を目指す

・ 包装容器としてプラスチックを使っている企業、原材料としてマイクロビーズを使っている企業:サントリーホールディングス、味の素、花王

減量化やリサイクルを進めるほか、代替素材や植物由来のプラスチックへの切り替えなどを進める

8)重要!姿勢やビジョンの打ち出し

具体的な取り組みと並行して、プラスチック問題に対する姿勢やビジョンを対外的に打ち出すことも重要。

・富士通 ・花王 ・味の素

海外事例:英国スーパー「アイスランド」、2023年までに自社製品の包装プラゼロ宣言
英国で900店舗、世界40か国で事業を展開のスーパー
PRESS RELEASE :ICELAND AIMS TO BE PLASTIC-FREE ACROSS OWN LABEL RANGE BY 2023

9)今後焦点が当たってくるプラスチック問題

  •  人工繊維
  •  漁網:使用後そのまま、海へ廃棄、海のなかで海の生物を絡めとってしまう、ゴーストフィッシングが起きている。
  •  フェリーや船の生活排水

など、ほかに考えられるものは何か。
一方、ビジネスチャンスも生まれている

  • 代替素材の開発:

例)
・お米雑穀等で作るカトラリー(インド):高温で焼いたもの。食事後、そのカトラリーまで食べることができる。

・特別な洗濯袋:パタゴニア(グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ)
化繊衣類を保護すると同時に、洗濯によって抜け落ちるマイクロファイバーの川や海への流出を削減します。衣類をグッピーフレンドに入れて洗濯した後、バッグ内に残ったマイクロファイバーを取り除き、適切に処分できます(パタゴニアサイトより)¥ 3,996(税込)
https://www.patagonia.jp/guppyfriends-washing-bag/GP001.html

10)地域の疲弊・消滅

地域と企業を考える
地域の疲弊、人口流出・減少、高齢化は
・自社にとってどのような影響を与えるのか、リスクとチャンスを考える。
・自社と地域の関わりを考える(現状やこれからの可能性)
→「地域循環研」スタート続可能な地域・日本にしていくため、人・資源・経済の循環と3つのキャパシティビルディングを目指す。

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11)ソーシャルインパクトをつくり出す、測る 
「自由演技」のための参考ツール:LCA、幸福度、地域経済、ソーシャルインパクト(SROIなど)

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12)トレードオフを超えて、全体最適へ 

  •  気候変動VS生物多様性
  • プラスチック問題(生分解性プラスチック)VS気候変動
  • どう全体最適・マルチプル・コベネフィットを共創していくのか

事例)インターフェイス「ネット・エフェクト」(自由演技例)
世界的なタイルカーペット企業、インターフェイス社が漁網からタイルカーペットを編み出す話。そこにはセクターを超えた専門家にも入ってもらいながら、環境だけでなくフィリピンの人々の暮らしの持続可能性を守りつつ、ビジネスもしっかり回っているストーリー。
→今できないとしても実効性はどうなのか、姿勢を示すこと。経営層が話せるようにしておく。

※ビジネスコンサルタントさまから許可をいただき、インターフェイスの取り組みを記事としてまとめられているサイト(Good Business Good People)をご紹介します(動画もあります)。 ぜひこちらからご覧ください。

【サスティナブル事例】タイルカーペット世界一 インターフェイス社
CSRは営業活動の一部!? タイルカーペット世界一 インターフェイスのサステナビリティ戦略【2】

社員が一丸となる3つの理由 タイルカーペット世界一 インターフェイスのサステナビリティ戦略【3】
 下記関連動画もアップされていますので、こちらもご覧ください。

『ネット・エフェクト』(動画)

3.会場提供企業さまより、ご活動紹介:

東急エージェンシー

SDGs プランニング・チーム「POZI」 池上さま

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POZI: 社会の課題をビジネスアイデアで解決し、持続可能な社会をつくることをめざすプランニング・チーム。コミュニケーションの力でSDGsの達成をめざす。 2014年末子会社内でスタート
2018年に本社内へ組織移管。
部門をまたぐ東急エージェンシーの社員が参加し、ビジネスの現場に即したSDGs、CSR/CSV企画提案をしている。
スローガン:ビジネスアイデアをアイデアのために
社会貢献=ビジネスで回そう。SDGSが共感できるものになっているかは疑問。お客様一人一人の中に腹落ちするようなコミュケーションの提供をしていきたい。

<例>
・熊本県水増集落:「幻の在来種大豆、八天狗」ビデオ(ナレーション:枝廣)
・プラスチック(2016年~)海洋ごみの啓発ポスター(東京都依頼)
・環境番組 フジテレビ「環境クライシス」3・23 テーマが気候変動なので、取り組み紹介もできる。
 

2.水リスクラボ(企業の「水リスク」、まとめて解決)

背景:CDPに代表されるグローバルな水問題もあり、地域特性を活かした水を利用。

国内外のインフラに地形地質気象に関して調査解析をしている実績から、さまざまな企業のお手伝いができる。

 <事務局よりお知らせ>

◇ 彩生舎 西村さまから当日の様子をブログにアップいただきました
イーズ未来共創フォーラム 2019)。 許可をいただき、共有をさせて頂きます。
◇ 次回フォーラムの予定
次回は5月16日(木)の開催を予定しています。テーマは未定となっているため、決まりましたら、ご連絡をいたします。

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懇親会のようす

参加された方の声から

☆本日のフォーラムに参加するにあたり、期待していたことは何でしょうか☆

2019年の着眼点(枝廣さんの)

2019年度以降のCSR・環境トレンド

1年前に参加したので、そこからの変化を考える、知ること。

今年の自分の焦点が定まること/枝廣さんの視点や見方をシェアしていただき、情報や注意点をアップデートすること。

2019年の課題 (2)

2019年の動向がどうなるのか、新しい動きの芽はどこにあるのか気になっていました。

知らないことを知る/自分ができそうなことを考える。

SDGsの現状

他業種の方との関わり、意見交換/自分自身の展望の整理

☆また、実際参加されて、いかがでしたでしょうか。よかった点、よくなかった点を含め、何でもご自由にコメントください。☆

業種業態の違う皆さんの意見を伺えて、ずいぶんヒントをいただきました。

2019年の課題はある程度予測に近かったが、海外も含めたトレンド情報を知識として付加することができた。

自分の知らなかった内容もあり勉強になった。

グループ内のワーク、質問が多くて対応しきれず時間不足になりました。内部でタイムマネジメントする必要があったけれどボーっとしていました。

枝廣さんの課題提供が毎年たいへん年間の活動の指針になっています。

マイクロプラスチックの人体への影響という観点は認識していませんでした。インパクトがありました。

視点が非常に広く視野が広がりました。ただ個人的には広がりすぎて目が回る感じもします。

知らないことを知る―これができたので満足。

実際のSDGsの理解に役立った。

テーマが見えてきました。

2019年の注目キーワードを聞いてみたく参加しました。昨年のプラスチック問題のような、今まったく予測できないキーワードが出てくる可能性もあることをあらためて知りました。

グループワーク、先生のご講演含め、勉強になりました。

やはり異分野を超えて時代をつくっていくということに尽きるのだと体感しました。この短時間では書ききれずすみません。とても価値ある時間でした。

さまざまな方と意見交換できてよかったです。

初めて参加させていただきましたが、メディア等で得られない情報も多く、またディスカッションなどで自分自身で考えることの大切さがわかりました。

☆今日学んだことを、どのように活用したいと考えていますか。また、さらに学びたいことなどもありましたらご記入ください。☆

地域と企業のコラボレーション。

自分でもさらに学びたい。社内でも共有したい。

FB Club SDGsでシェア。

社会課題の解決には、より具体的な問題を掘り下げて考えを深める必要を強く感じました。

地域での活動。誇りをもてる地域づくりに役立てたいと思います。

企業各社様のサステナビリティ推進の後押しをさらに進めて参りたいと思います。

「SDGsは自由演技」という言葉が非常に印象的でした。自由演技であればこそ、企業の考え方や哲学が大事になると思います。心する必要があると思いました。

購買行動を変える。量り売り、容器持ち込みの店を探す。

社内(部内)共有し、ディスカッションの場を設けてみたいと思います。

昨日はバックキャスト思考の先生と話し、今日は枝廣先生に初めてお会いし、自分の仕事の中でどう貢献できるか頭を整理して考えたいです。それから臆せず今年は何らかの形で発信して参りたいと思った次第です。

会社内での情報伝達、テーマアップの方策に活用したい。

次回のイベント・フォーラムの予定

 

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