今年最後の夜をいかがお過ごしでしょうか。
2014年はどんな1年として歴史に残るのでしょうね? 自分史上、自分の組織の歴史上、地域の歴史上、日本の歴史上、世界の歴史上、そして、地球の歴史上......。そんなことを考えながら、大晦日を過ごしています。
確かに正しい方向に向かっていると感じられる動きもたくさんありましたが、一方で、顕在化する被害にも有効な削減策が打てていない温暖化の問題や、国民的議論や対話なく一方的に進められつつあるエネルギー政策、再エネや温暖化対策、環境技術・ビジネスなどさまざまな観点で世界から取り残され、取り残されつつあることにも気づいていない日本など、「何とかしなくちゃ」と思うことも多々明らかになった1年でもありました。
私自身はどんな1年だったのか、振り返ってみ
> この2年ほどは、以下に注力してきました。
>
> > (1)幸せ・経済・社会:つながりと構造の変え方
> > (2)エネルギー:エネルギーそのものとエネルギー政策の熟議型民主主義化
> > (3)共創力:対話の作法と場づくり
> > (4)行動変容のためのコミュニケーションとマーケティング
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> 2014年はこの4つに、「レジリエンス」と「地域の経済と幸せ」を加えて、進め
> ていきたいと思っています。
>
> (1) 幸せ・経済・社会:つながりと構造の変え方
> (2) レジリエンス
> (3) 地域の経済と幸せ
> (4) エネルギー:エネルギーそのものとエネルギー政策の熟議型民主主義化
> (5) 共創力:対話の作法と場づくり
> (6) 行動変容のためのコミュニケーションとマーケティング
そして、春頃から、以前から模索していた「次世代育成の支援」が具体的に始められた1年でした。1つずつ振り返りをしてみました。
(1) 幸せ・経済・社会:つながりと構造の変え方
○今年の10大ニュースの1つは、岩波ブックレット『定常経済は可能だ!』を出 せたことです。
「定常経済」は可能だ! (岩波ブックレット) 562円
ハーマン・デイリー (著), 枝廣 淳子 (聞き手)
春にレスター・ブラウン氏の80歳のお誕生日お祝いの会に渡米した機会に、ハーマン・デイリー氏へのインタビューをお願いし、事前に4回の勉強会を重ねてインタビューした結果を、『世界』に掲載していただき、デイリー氏が今年のブループラネット賞を受賞されたことから、旭硝子財団の支援を得て「定常経済について考える」というウェブサイトを立ち上げることができ、それらの活動からブックレットにつながったものです。ちなみに、1月5日〆切で「定常経済」に関する懸賞論文を募集中です。
ご参考)「世界」2014年8月号 ハーマン・デイリー氏に聞く 「定常経済」へ、いまこそ移行すべきとき
http://www.es-inc.jp/library/writing/2014/libwri_id005276.html
http://www.es-inc.jp/library/writing/2014/libwri_id005277.html
○「経済成長について100人に聞く」プロジェクト、進めています。内外の有識 者や一般の会社員・高校生など、さまざまな方々にインタビューをさせてもらっ ています.現在38人分掲載されています。
http://ishes.org/project/responsible_econ/enquete/
○幸せ経済社会研究所の月1回の読書会を通して、「幸せ・経済・社会」につい ての勉強を続けました。今年は特に経済的側面の理解にも力を入れました。こ れまでに取り上げた課題書リストはこちらにあります。
http://ishes.org/docs/201412_seminar_list.pdf
「幸せと経済と社会について考える読書会」は来年も続けます。ご案内はこちらです。1回ごとの参加ができるようにしましたので、「これは!」という回においで下さい。
http://ishes.org/news/2014/inws_id001458.html
(2) レジリエンス
日本でもちらほら「レジリエンス」という言葉が聞こえてくるようになった1年でした。
○講演、執筆、メールニュースなどで、レジリエンスの考え方や重要性、具体的 な取り組みなどをできるだけ広く伝えるべく、努めました。
CROって?~ロックフェラー財団「100のレジリエンス都市」の最初の33都市を発表
http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2014/libnews_id004838.html
○今年の10大ニュースの1つは、以前から進めていた「レジリエンスの入門書」 の執筆がほぼ終わり、出版社も決まったことです。来春には刊行予定、どうぞ お楽しみに!
(3) 地域の経済と幸せ
内外の地域の素敵な取り組みが増えてきましたね。自分自身でも今年かなり力を入れた分野です。
○JFSの「地域の経済と幸せ」プロジェクトを進めました。
http://www.japanfs.org/ja/projects/local_wellbeing/index.html
地方創生・地域の再活性化など多くの取り組みがありますが、私たちはそれらのベースとして「地域経済」をどのように理論化・計量化できるか、という視点で世界の取り組みの紹介をしています。たとえば、
・漏れバケツ理論~Plugging the Leaksお金が多くの人の手に渡りながら地域内を循環することは、地域経済にとって大きな意味を持っています。ここではこの効果について、英国のシンクタンクnefが提唱する「漏れバケツ」という考え方を、nefの許可を得てご紹介します。
http://www.japanfs.org/ja/files/wbg_131205_02.pdf
あなたの地域は漏れバケツ? お金は循環・滞留している?
http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2014/libnews_id004962.html
・地域経済の青写真~Local Economic Blueprint食料やエネルギーを地域内で生産できれば、その分、食料やエネルギーを購入するために地域外に支払っていたお金を地域内で使うことができます。英国のトットネス地方ではこの経済効果を、公開されているデータを元に計算しています。ここではそのレポート『地域経済の青写真』(Local Economic Blueprint) の概要をTransition Town Totnesの許可を得て、ご紹介します。
http://www.japanfs.org/ja/files/wbg_131205_03.pdf
今年度のプロジェクトの集大成として、2月9日(月)にシンポジウムを開催します。ちょうど申し込みを開始したところなので、よろしければぜひどうぞ!
JFS「地域の経済と幸せ」プロジェクト:シンポジウム
『生き残りにつながる地域の取り組みとは――地域経済・地方創生の視点から』
パネリスト
春日 隆司氏 (下川町 環境未来都市推進本部長)
大和田 順子氏(サステナブルコミュニティ・プロデューサー)
村上 敬亮氏 (内閣官房 まち・ひと・しごと創生本部 内閣参事官)
http://www.japanfs.org/ja/information/jfsnews/jfsnews_id035134.html
○イーズ未来共創フォーラム異業種勉強会の第30回で、高知県の尾崎知事をお迎 えして、地域経済のお話などをうかがいました。レポートはこちらにあります。
『人口減少最先端 高知県のとりくみ事例に学ぶ』
http://www.es-inc.jp/network/forum/2014/nwk_id005148.html
○各地の取り組みの取材に行きました。学ぶことがたくさんあります! まだ記 事にできていないものも多いのですが、順次......。
「シャッター通りから、にぎわいのスペースへ~別府の北高架商店街」
http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2014/libnews_id005492.html
(4) エネルギー:エネルギーそのものとエネルギー政策の熟議型民主主義化
これが今年最も大きな課題でした。メールニュースなどで伝える活動は続けましたが......。「エネルギー政策の熟議型民主主義化」については、秋から何人かの研究者と研究会を始め、勉強を進めているところです。こちらも少しずつ、共有していきたいと思っています。
(5) 共創力:対話の作法と場づくり
○幸せ経済社会研究所の勉強会で、「対話力」「合意形成力」をテーマに、各5 回の勉強会を行いました。東工大の桑子先生をお招きしての地域での合意形成 の現場のお話など、非常に学ぶところが多く今後につながりそうです。
○柏崎市の「明日の柏崎づくり」事業のお手伝いを続けています。
http://www.city.kashiwazaki.niigata.jp/detail/2299634802.html
「対話から生まれるまちづくりをめざして ~ これからの柏崎とエネルギーを考える取り組み」
http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2014/libnews_id005206.html
今年は、「明日の柏崎の産業を考える勉強会」を4回にわたって開催しました。毎回多数の市民の方が参加され、さまざまな可能性を考えるよいきっかけになったのではないかと思います。来年度もどのように展開していくか、楽しみです。
第1回:原亮弘氏をお迎えして「地域内でお金を回す仕組みとは~再生可能エネルギーと市民ファンドについて学ぶ
第2回:宮治勇輔氏をお招きして農業を「かっこよく・感動があって・稼げる3K産業」にする
第3回:山崎亮氏をお招きして「柏崎の魅力のつくり方‐全国の魅力ある地域づくりから学ぶ‐」
第4回:浜野慶一氏をお招きして「地域の技と力の共創で実現!‐海洋探査機「江戸っ子1号」共同開発プロジェクトに学ぶ‐ 」
○イーズ未来共創フォーラムの異業種勉強会でさまざまな対話や共創を進めました。具体的な共創プロジェクトも始まり、とてもうれしいです!
http://www.es-inc.jp/network/index.html
http://www.es-inc.jp/network/forum/index.html
「信州伊那里自給楽園とHSBCとの共創の取り組み」
http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2014/libnews_id005371.html
(6) 行動変容のためのコミュニケーションとマーケティング
イーズカレッジやワークショップでスキルアップをはかったり、具体的なプロジェクトにマーケティングの視点を盛り込むことで、少しでも行動変容につながる取り組みを増やそうと努めました。来年もそういう勉強会やセミナーを行いますので、ご興味のある方、ぜひどうぞ!
(7)次世代育成の支援
○3月から、オフィス町内会を立ち上げ活動してこられた半谷栄寿さんといっしょ に、高校生を対象に、構想力・プレゼン力・巻き込む力を育むための「高校生 のためのオープンスクール」を月1回のペースで展開しています。
https://www.facebook.com/minamisomasolaragripark?fref=ts
「高校生のためのオープンスクール」中間発表会のご案内
http://www.es-inc.jp/library/mailnews/2014/libnews_id005284.html
オブザーバーとして参加して下さった井上貴至さんがブログでようすを書いて下さっています。
福島から未来のアントレプレナーを育てたい(南相馬ソーラー・アグリパーク 半谷栄寿さん)
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68237749.html
講演の質を飛躍的に高める半谷栄寿さん・枝廣淳子さん流「予習方法」
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68237762.html
オープンスクールは、来年も続け、一人一人の「マイプロジェクト」を深めていきながら、事業化の体験を通じて、「企画書コンテスト」ではない、実際の起業力を身につけていきます。またご報告します。お楽しみに~。
○9月から東京都市大で教え始めました。研究室紹介はこちらにあります。
http://www.yc.tcu.ac.jp/envstudies/laboratory.html
来春からはゼミも受け持つので、とても楽しみです。先日の授業では、富士通の環境本部の方に来ていただいて、直接担当者の話を学生に聞いてもらい、質疑応答をさせてもらい、学生たちも目を輝かせていました。
エダヒロ研究室のスローガンは「広く。社会へ。世界へ」です。社会とのつながりを大学にもたらせること、世界的な視野と共創をめざして活動することを大事に、学生たちとのよい取り組みができればと思っています。
今年の最初の目標に照らし合わせての振り返りは以上です。こうやって振り返ってみると、できたこと、できなかったこと、予期していなかったけど展開したことなどがわかると同時に、来年以降、どういうことに注力していくべきか、していきたいかが明らかになってきます。
去年の今頃、大学で教え始めるとも思っていなかったですし、現在進行中のさまざまなプロジェクトがスタートすることも予期していたわけではありませんが、でもきっとすべては必然だったのだろうと思います。
来年もどんな1年になるのか、どんな新しい出会いや展開があるのかは未知の楽しみです。少なくとも、自分の進んでいきたい方向が明確であれば、さまざまな機会が訪れてくれるのでしょう。
そう思うと、自分のやりたいこと・進んでいきたい方向・ありたい自分をじっくり考えることのできる年末年始の時間は本当に大事だなあと思います。
最後にご案内です。もしそういう大事な時間を、年の初めにとってみたいという方がいらしたら、来年も一計のワークショップでそのプロセスをご一緒します。1月10~11日の開催ですが、まだ残席がいくつかあるので、よろしければぜひ一緒に、自分のための大事な時間を過ごしませんか。
http://www.es-inc.jp/seminar/smn_1kei_2015_winter.html
今年もメールニュースを読んで(少なくとも受信して)下さって本当にありがとうございました! 来年もいろいろ考えつつ、活動していき、メールニュースで内外の新しい動きや素敵な取り組みなどをお伝えしていきます。
ひきつづき、どうぞよろしくお願いします!
どうぞよいお年をお迎え下さい。